新潮文庫
かもめの日

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  • サイズ 文庫判/ページ数 260p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101339818
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

「わたしはかもめ」女性初の宇宙飛行士テレシコワが、高い空の上から地球に放った言葉は、地上の孤独をいまも静かにつなぐ。妻に先立たれた作家、FM局の年若いAD、肥った地球物理学者の青年、消せない怒りを抱える少女。チェーホフの世界に重なって、それぞれの24時間を俯瞰しつつ、この街の姿に織り上げる物語のタペストリー。読売文学賞受賞。

著者等紹介

黒川創[クロカワソウ]
1961(昭和36)年、京都生れ。同志社大学文学部卒業。2000(平成12)~’01年『もどろき』が芥川賞および三島由紀夫賞候補に、’02年『イカロスの森』が芥川賞候補、’05年『明るい夜』が三島賞候補、のちに京都水無月大賞受賞。’09年『かもめの日』で読売文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

303
小説の冒頭はワレンチナ・テレシコワの「ヤー・チャイカ」(わたしはカモメ)のエピソードで幕を開ける。ヴォストーク6号(旧ソ連)で地球を48周回った女性宇宙飛行士だ。また、そのカモメから連想されるのは、チェーホフの「カモメ」だろう。大いに期待が高まるのだが、いざ始まってみると、急速に小世界に降り立つことになる。東京のFM局を舞台の軸に様々な人間模様が描かれはするのだが、それらが焦点を結ぶことはない。また何人かの主要登場人物が出ては来るが、いずれも主人公を背負えない。実験的な小説と言えば、そう言えなくもない。⇒2017/11/01

はらぺこ

54
解説を読んだらベタ褒めやったんで良い作品なんでしょうけど、自分は理解出来なくて何やよぉ分かりませんでした。先にチェーホフの『かもめ』を読んでれば良かったんかなぁ。 《ナイト・エクスプレス》での交通博物館の坂上さんの話が一番好き。2014/01/30

ケイティ

22
小泉今日子さんの書評集で気になった作品。FMラジオ局を中心に、俯瞰で見たような人物たちの群像劇。接点がないようである人々の、特定の時間を切り取ったような物語は好みですが、これはちょっと不思議な印象。誰にとっても平等に毎日新しい日が始まる。それは時に絶望でもあるが、少なくとも希望にすることはできる。いつかは。地味だけれど、そのささやかさを愛おしく思わせてくれる良書でした。そして改めてあのような書評を綴れる小泉さんが素敵だとしみじみ。2016/05/28

びっぐすとん

17
初読作家さん。何かで紹介されていたので。うーん、思ってたような話ではなかった。ストーリーは全く関係ないが、雰囲気的に吉田修一『パーク・ライフ』を思い出す。とらえどころのない日常の話。日常は個人の思いとは関係なく訪れる朝と夜の繰返しで、とどまることなく流れていくんだなあ。人生の意義が大事とか言いつつ、大抵の人の日常って何とはなしに流れていくものだなあ。さらっと読むには悪くはないけど、これといった印象も残らない。ラジオ業界ってあまり話題にならないから、少し事情がわかった気がする。2021/09/08

17
★★★☆☆(「ヤーチャイカ(わたしはかもめ)」。物語はテレシコワの空の声から始まる。初めは無色無味な登場人物たちが・・徐々にその人間的な色や魅力、人間らしさを帯びてくる。「朝は、誰の上にも適当にやってくる。この地球の上では、夜の終わりの尻尾の先など、誰もつかまえたことがないのだから・・」。人間は誰もが心の声を発している。それに気づくか気づかないか。声に出すか出さないか。対峙して・・前に進むのか進まないのか。「明るい夜」以来の黒川作品だが、この人の作品は決して派手さはないが・・いいものがある。)2010/10/15

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