内容説明
「あたし、怖いことが好きですわ」。そう微笑んで衣子はパリに旅立った。『美女と野獣』のラストシーンを瞼の裏に。機上から見る空のバラ色こそが明日の色だ、と信じるほどに無邪気なまま―。文明開化の頃、横浜から単身渡仏した祖父・辰吉。家族の沸き立つ血脈が、彼女を人生の輪舞に駆り立てる。やがて訪れる激しい恋と、自らを翻弄する宿命の存在を、19歳の衣子はまだ知らない。
著者等紹介
岸惠子[キシケイコ]
横浜市生れ。女優。1957(昭和32)年、フランス人映画監督イブ・シャンピと結婚のため渡仏。母の死、娘の結婚、新世紀の始まりを機に日本に戻り活動の拠点とする。代表的な主演映画に『君の名は』『雪国』『かあちゃん』など。『ベラルーシの林檎』(日本エッセイスト・クラブ賞受賞)ほか著書多数。2002(平成14)年にフランス芸術文化勲章オフィシエ、’04年に旭日小綬章を受章。’96年から国連人口基金親善大使を務めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スターリーナイト
1
2022-572022/07/20
Noriko
0
上巻は、衣子(岸さん)が女優としての道を歩み始めたところで終わる。祖父、母の生きざま、根底にある《こころ》を受け継ぎ、さらに恋を含めた様々なことを経験して大きくなっていくのであろう下巻に期待。岸恵子さん、私の卒業した高校の先輩である。学校生活の描写がほとんどなかったのがザンネン。2015/05/29
けいちか
0
岸惠子の自叙伝的小説。彼女のエッセーは結構読んでいたものの、小説は初めて読んだ。明治から昭和の後半まで、主人公の衣子の祖父の時代から始まっている物語である。ご本人がドラマティックな人生を歩まれたせいか、その人生を下敷きにしたこの作品もかなりドラマティックで読ませる。全くの作り話でもなく、全くの事実でもない。しかしぐいぐい引きつけられて、時間も気にならずに読み進めることが出来た。上下巻とも表紙は娘さんの作品。2010/02/03
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- 和書
- 1960年代論