内容説明
海峡の漁村・赤間関を、コンクリの町に変えた桜井の家。昔日の繁栄は去り、一人娘の梅代は、出戻った娘と孫娘の3人で日を過ごす。半島から流れついたようにいつの間にか隣地に建った教会を憎悪しながら…。因習に満ちた共同体の崩壊を描く表題作ほか、変態する甲虫に社会化される自己への懐疑を投影した「蛹」など、ゼロ年代を牽引する若き実力作家の川端賞・三島賞同時受賞作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
423
彼の芥川賞受賞作はしっくり来たのに、この短編集は難しかった。読点でダラダラ文章を続けていくスタイルも、登場人物の誰もがアウトローな感じなのも好みではない。これが川端康成賞や三島由紀夫賞を取っちゃうんだ…という違和感ばかりを抱えつつ(一応)最後まで読んだ。2021/01/11
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
68
☆3.0 『不意の償い』『蛹』『切れた鎖』の3篇を収録。 164頁の薄さなのであっという間に読めてもおかしくないのでしょうが一度中断すると再開するのに時間を要しました。そんな作品でした。2020/12/29
チアモン
55
芥川賞受賞作家田中氏の3編からなる短編集。ページ数少ないが読み終えるのに時間がかかった。じっくり読んでいると少し気持ち悪くなった。濃密であり濃厚であり、あまり体調が優れない方にはおすすめしない。・・・けど私は結構好きでした。2019/09/21
優希
44
再読です。おどろおどろしさはありますが、世界観に引き込まれます。憎悪の物語というのが圧巻で、憎しみが激しいほど、負のエネルギーに体が絡め取られていくような感覚を味わいました。2024/07/29
ω
41
3作で160頁の薄い文庫なのに疲れたーーー😭 何となくこの辺りのことを言いたいのかなぁというのはあるんだけど、難しくて分からない(´;ω;`)川端賞・三島賞を同時受賞してるってことはやっぱり文学的に優れているという判断なのに、ついていけないのが悲しい😭カブトムシの蛹とか知らんし読んでも分からんし泣2025/01/05