内容説明
樹齢七千年の縄文杉の下で一夜を過ごし、白山のブナ林を歩く。真冬の山里を訪ね、銀座の並木に思いを馳せ、能面師、木工師と対話する。そして、木とともにある文化、木とともにある生活、木とともにある生命とは、どういうことなのか、本書は静かに語りかける。我々が忘れかけていた木と人間との関わりを、見て、歩いて、感じて、考えた、優しさに満ちた自然論。読売文学賞受賞。
目次
縄文杉の下で
森は誰のものか
幼い二本の木
白山のブナの森
賢者の栖
木は水に浮く
町の木
木の船の時代
木でつくる
幾何学のない家
木のない世界から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
24
帰郷して十年近くになる。家は古いだけあって、庭もあり、庭木も(手入れが悪いせいで)藪のような状態だが、家を取り囲むようにある。世話とまではいかないが、それでも、日々、草花と共に樹木も目にする。傷んだ木もあれば、隣家の苦情で断ち切った木、あるいは昨年、原因不明で一気に枯れてしまった木(モミ)もある。台風で幹の途中で折れてしまった杉の木事件もあった(半ばは吾輩の不始末のせいなのだが)。2017/04/25
あかつや
4
木にまつわるあれこれ。著者の木に対する愛着はものすごく伝わった。木工と船の話が面白かった。でもこの手のナチュラリストが陥りがちな文明嫌悪の香りが漂ってて、それで首を傾げたくなる部分もあった。よりによってそれが最初の話だったから、以降ずっと警戒して読んでしまったよ。最初は縄文杉を初めて見に行った話で、まあ縄文杉みたいな巨大な自然物を見ると、人間の文明なんてって気分になるのもわからんでもないけど。でもその縄文杉の下で、凍えることなく眠れるのも、朝から具沢山のおいしい豚汁飲めるのも、全部文明の恩恵なんだよなあ。2021/07/06
yamakujira
1
「木」を題材に、自然、民俗、歴史、紀行など、豊富な話題が飽きさせない。 (★★★☆☆)
千賀藤兵衛
0
木についてのあれこれを綴った随筆集。縄文杉に会いに行った話、明治政府が山林を召し上げた話、落人伝説のある山奥の村を訪ねた話、材木商の話、和船の話、木工職人の話…。ところどころズブズブの感傷的な語り口になって辟易させられたが、全体としては悪くない出来。特に山奥の秘境を訪ねた話は面白かった。山また山の景色、散在する民家、そこでの野趣に富む暮らしがありありと目に浮かぶ。2024/03/02
yuzi
0
木にまつわる随筆集・11篇。様々な視点で話が展開しており、視野が広く感心。随筆家・高田宏さん初読。京大文学部って感じ。広範な知識をひけらかすわけではなくわかりやすく語りかけてくる。解説の池澤さんは彼を評して終始優しく遠慮がちとおっしゃっていたが、たまに「どうした!?」ってくらい攻撃的な文章になる時も。刳舟の話、すごい面白かった。おすすめ。2022/07/28
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