内容説明
ソ連邦末期、世界最大の版図を誇った巨大帝国は、空虚な迷宮と化していた。そしてゴルバチョフの「改革」は急速に国家を「自壊」へと導いていた。ソ連邦消滅という歴史のおおきな渦に身を投じた若き外交官は、そこで何を目撃したのか。大宅賞、新潮ドキュメント賞受賞の衝撃作に、一転大復活を遂げつつある新ロシアの真意と野望を炙り出す大部の新論考を加えた決定版。
目次
序章 「改革」と「自壊」
第1章 インテリジェンス・マスター
第2章 サーシャとの出会い
第3章 情報分析官、佐藤優の誕生
第4章 リガへの旅
第5章 反逆者たち
第6章 怪僧ポローシン
第7章 終わりの始まり
第8章 亡国の罠
第9章 運命の朝
著者等紹介
佐藤優[サトウマサル]
1960(昭和35)年生れ。’85年、同志社大学大学院神学研究科修了の後、外務省入省。在英日本国大使館、ロシア連邦日本国大使館などを経て、’95(平成7)年から外務本省国際情報局分析第一課に勤務。2002年5月、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕。’05年2月執行猶予付き有罪判決を受け、現在上告中。主な著書に『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』(毎日出版文化賞特別賞)、『自壊する帝国』(新朝ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遥かなる想い
238
第38回(2007年)大宅壮一ノンフィクション賞。 ソ連帝国 自壊の物語である。 ゴルバチョフ、エリツィン等が崩壊に至る 過程でどう動いたのか.. 会話中心から 得られるエピソードは 真偽はよくわからないが、興味深く、特に 友人サーシャからの情報が、ソ連崩壊の展開に 厚みを持たせる…断片的な報道では わからなかった 過去が 蘇る本だった。2017/08/16
ehirano1
81
第七章。アントニオ猪木さん、結構仕事してたんですね。しかも、ロシア高官に向かって『なんだこの野郎ー』でwww。見直しました。2017/03/12
ehirano1
80
六章における「スヒチーヤ(本源力)」が印象に残りました。スヒチーヤの意味は”森羅万象を生起、消滅させる本源的な力”だそうで、アニミズム(自然崇拝)である当方には少々畏れ多いです。歴史の転換期などでは「破壊のスヒチーヤ」が顕在化するというのは分かり易いのですが、日常を暮らす当方等は「スヒチーヤ」を日々如何に使うかが問われているような気がします。2016/12/18
100
76
エピソード1、佐藤優ライジング。 氏の豊富な人脈との交流を基に描くソ連崩壊はのっけから面白さピーク。人対人の関係を重視する著者の姿勢は立場、職務による利害を超えた交流を生み、強力な情報源となる。それがどのくらい外交施策に影響を与えたかは不明だが、判断材料として質・量ともに比類ないものだったのではないだろうか。2022/01/09
ehirano1
76
イリインが著者に言った、『強い者に対してお願いをしてはいけない(巨匠とマルガリータ、ブルガーコフ)』の箇所がまだ読み解けません。プライドだけの問題ではないように思いますが・・・。原著を読んでみたいと思います。2018/03/10