内容説明
神楽坂の露地の奥にひっそりと佇む「和可菜」。この質素な旅館で『男はつらいよ』を初めとする脚本=ホンの名作がいくつも書かれた。今井正、内田吐夢、山田洋次、深作欣二、浦山桐郎、早坂暁、市川森一、竹山洋ら、「和可菜」に集った当代一流の映画人と、彼らを温かく見守り続けた名おかみ・和田敏子。日本映画の黄金時代を支えた、小さくも強靱な砦の半世紀を描く、痛快無比の疾風録。
目次
序章 ふたりの女将
第1章 ここは牛込、神楽坂
第2章 ネコ型人間の生態学
第3章 日本映画の小歴史館
第4章 旅館経営はつらいよ
終章 “All,all are gone.”(みんな、みんな逝ってしまった)
著者等紹介
黒川鍾信[クロカワアツノブ]
昭和13(1938)年東京生れ。明治学院大学大学院修士課程修了後、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)留学。明治大学情報コミュニケーション学部教授。専門分野は英詩。主な著書に『旅に出よう 船で』(講談社 第10回日本自分史学会優秀賞受賞)など。『神楽坂ホン書き旅館』で第51回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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陸
2
映画好きには楽しい本。映画に詳しくないし、戦前からの映画を取り上げられても知らないのが多いし、視点が時々、女将さんから『私』に切り替わるので読みにくいこともあったけど、登場する人たちが魅力的で、面白かった。2009/12/05
東森久利斗
1
ホン書き界の世界遺産。泊まってみたい。2017/07/03
kun-kun
1
なにげなく手に取った本だったけれど、面白かった〜。個性的な作り手がいるだけではなくて、それを支える人がいたからこその日本映画なんだなぁ。2010/11/21
まつ
0
星☆☆☆☆2015/11/04
unpyou
0
神楽坂にいまも存在する脚本家・作家御用達のカン詰め旅館「和可菜」の一代記。東映チャンバラ時代劇の脚本を量産した村松道平から、山田洋次・朝間義隆コンビによる「男はつらいよ」脚本執筆の微笑ましきエピソードに至るまで、日本映画の歴史を支えた女将と女中頭カズさんらの奮闘ぶりは、遁走の達人・野坂昭如の爆笑逃走劇なども交えながら楽しく読ませつつ、やがて来る映画界の退潮とともに、切なく胸に迫るユートピア憧憬の色を湛えるに至る。何と厳しくも幸せな空間か、と恋焦がれるような気持ちで読み終えられる名著。2012/10/22
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