内容説明
わたしはこのひとのように人生を正面から受けとめ、苦悩していただろうか。若くして罪を犯した女性から著者のもとに届いた一通の便りには、学校教育から深い傷を受けながらも、自力で立ち直った熱い魂の軌跡が綴られていた―。本当の教育とは何かを鋭く問う表題エッセイ「林先生に伝えたいこと」の他、環境問題や食文化、沖縄の離島への移住の顛末まで、幅広く論じるエッセイ集。
目次
林先生に伝えたいこと
若者たちへ
子どもの絵
「死」を学ぶ
「死」を語る
島暮らしで思ったこと
島で暮らす’88〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
べる
16
人生を広く深く味わう贅沢をしたいと思えた本。子どもと教師が本気で向き合った時に子どもは信じられない力を出す。可能性とはまだ決まった形のないもの。深いところにあるから努力から離れてはいけない。教師はその高いところにおいて教育を営むべし。学んだことの証しは何かが変わること。自然に身をゆだねれば豊かな生涯が送れる。古くからの食事(雑穀、野菜、海藻、小魚)は栄養学的に満点。味をつけるではなく味を立てる。人を愛することは知らない人生を知ること。人間とは何かを問うことが文学の根本的な存在理由。映画はすごいことを語る。2021/12/01
randa
5
世の中には、想像しがたい逆境の中で生きてきた人がいる。そういう人に対して、学校、社会は、残酷だ。その人を救うことができる存在が現れるかどうかは、クジで選ぶように、偶然性が強い現実が悲しい。また、苦しいことを体験しそこから這い上がろうとする者だけが、本当のやさしさを得ることができないと、強く思う。2017/08/18
Kana Kikuchi
3
灰谷さん、素敵。2016/08/05
のこふい
1
人のあったかさと優しさは違うということ、いままでの私がもっと早く知っていたらと思う。人としての在り方を見直す機会を与えてくれた。2016/01/23
イズム(清瀬泉夢)
1
エッセイ集です。いろいろなテーマがあり、ひとつひとつの関連性はあまりないのですがテーマごとに考えさせられる内容があり、勉強になりました。本当に灰谷先生は人間が好きな方なんだなぁ。と改めて感じました。2013/03/04