内容説明
注意深く耳を澄ませば、海のうめきが聞こえてくる―。汚染、埋め立て、乱獲によって痛めつけられた海、浜を追われた漁師たち。着々と進む大規模な環境破壊は、人々の心をも確実にむしばんでゆく。浜辺の町に、腕利きの漁師である父親と二人で暮す少年健太と、都会からの転校生可南子、担任の若い教師紀子先生との交流を鮮やかに描き、海の素晴らしさを高らかにうたう心温まる物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はらぺこ
47
この感じ好きやわ。 小学生の道徳の時間に観るNHK教育の10分か15分ぐらいのドラマみたいな内容。 孤独のガンマンの気持ち分かるわぁ。可南子ちゃんカワイイもんなぁ。 嫌な人は殆ど出てこないので世知辛い世の中で読むには最適の温かい気持ちになれる作品でした。 こんな理想的な子供とか親とか先生はおらんと思うけど、理想やから高い方がええやんと思う今日この頃。 ほっこり温かい気持ちになりたい人にオススメです。2011/05/15
朗読者
26
感動☆3つ。漁師町の小学生達が漁師の大人達から話を聞き、海の汚染、人間の行いの結果を学んで行く。20年以上前の作品ですが、灰谷さんがこの作品で警鐘を鳴らした海洋汚染は今、さらに深刻さを増している。もうすぐ海中のマイクロプラスチックは魚より多くなる。人間だけがこんな横暴で良いはずがない。2022/10/24
nemuro
6
市立富良野図書館から借りた一冊。灰谷健次郎は、かつて、『兎の眼』とか『太陽の子』とか、何冊か読みましたが、実に久々。なぜか、先日、『食堂かたつむり』(小川糸/ポプラ文庫)を読み終えて、いい本だったなぁ、と物語を振り返りながら、ふと読みたくなった作家(3人)の一人が灰谷健次郎。というのがきっかけで、図書館で探してみました。探し方が悪かったのか、あまり灰谷健次郎の本がなくて、数少なく置いてあったのが本書。わざわざ児童文学などと区別する必要もないでしょう。心洗われるような、いい物語。スラスラと読了です。2018/02/02
嘉江☆海★山♫
5
素晴らしかった〜。灰谷健二郎さんは『兎の目』で大感動しました。この本もまた、海の水につかったような心現れる本でした。このような本が、これからもずっと、ずっと読み継がれてほしい。こどもたちにもおとなたちにもたくさん読んでもらいたい。2025/04/26
はこぶね
4
やっぱり灰谷さんの作品名好きだなあと再確認した。きちんと生徒と向き合って一緒に学ぶ紀子先生や小学生だからと適当にあしらわずに海のこと漁業のことを教えてくれる正木のオッサン、間違ったことを子どもにきちんと謝る大人たち、子どもだけじゃなくて大人の描写もいい。どの著作を読んでもなにか心に残るものがあって、今回もそう。正木のオッサンのいう「もう日本には漁業なんてない」に重みがあった。2024/01/25