内容説明
慶長二十年大坂の陣。炎上する大坂城を密かに脱出した豊臣秀頼は、遥か薩摩で捲土重来を期していた。時を経て寛永十四年、三代将軍徳川家光の治世に島原で百姓一揆が起こった。死を恐れぬ切支丹や暗躍する忍びの願いはただひとつ。徳川の天下を覆して豊臣の世を回復すること。その中心にいる天草四郎時貞に流れる血脈は…。「最後の戦国合戦」と称される島原の乱を大胆に描いた空前の歴史小説。
著者等紹介
加藤廣[カトウヒロシ]
1930‐2018。東京生れ。東大法学部卒。中小企業金融公庫、山一證券にて要職を歴任。その後、経営コンサルタントとして奔走する傍ら小説を書き始め、2005(平成17)年に『信長の棺』で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みこ
21
豊臣秀頼が大阪城を脱出して島原の乱に関わってというあらすじにワクワクした割にはあまりのめり込めなかった。シリーズものの続編だったらしく架空の人物同士が既に顔馴染みだったりあの時のアレという話題に完全に置き去りにされてしまった。極力ネタバレは避けたいが主人公と思っていた秀頼は話が進むにつれて存在感が薄くなる。しかし、この辺の時代を扱ったフィクションが剣豪オールスターズになりがちなのはなぜなのか。武蔵も十兵衛も取りあえず出してみたという感じでしかない。2021/03/11
ニックス
15
加藤廣の遺作。物語は豊臣秀頼が大阪城を脱して、その血脈が島原の乱を起こす。創作が強いけど、これはこれで面白かった。星32021/10/01
Cinejazz
11
1615年(慶長20年)5月、大坂の陣で敗れた豊臣秀頼は、双子の姉(桐姫)を身代わりに仕立て、城外への抜け道から九州へと逃れ、豊臣再興の日に向かって虎視眈々と企てを練る・・・1637年(寛永14年)10月、三代将軍徳川家の時世に至り、島原での百一揆を先導する天草四郎が倒幕の火蓋を切る・・・最後の戦国合戦と言われる「島原の乱」の歴史的背景と因果関係を、虚実を入り混じて描かれた “えっ、まさか、そんなこと!” の場面が連続する<加藤 廣>氏晩年の壮大な歴史スペクタクル。2024/08/19
さっと
9
本能寺三部作で知られる加藤廣氏の遺作。小説新潮の連載は終了しており一応完結しているものの単行本化にあたり加筆修正されていないため全体の流れが悪い。「島原の乱」の背景に将軍家(知恵伊豆、春日局、柳生一族)と豊臣遺臣・外様(島津、伊達)の、まるで関ヶ原の戦いを再現するかのような暗闘があったとする本格伝奇小説だが、それぞれのキーマンの将軍家を盤石にしたい・再び豊臣の世としたいとする思いなり行動なりがやや薄味で名義貸しのファンサービスで登場する剣豪なんてほんと気の毒。構想はおもしろいけど盛り上がりに欠ける。2021/12/12
かずぺん
5
豊臣方の推移として面白かった。また、様々な剣豪が登場したのも痛快でした。2021/04/12