内容説明
「私はもう用済みってことですか!?」リストラ請負会社に勤める村上真介の仕事はクビ切り面接官。どんなに恨まれ、なじられ、泣かれても、なぜかこの仕事にはやりがいを感じている。建材メーカーの課長代理、陽子の面接を担当した真介は、気の強い八つ年上の彼女に好意をおぼえるのだが…。恋に仕事に奮闘するすべての社会人に捧げる、勇気沸きたつ人間ドラマ。山本周五郎賞受賞作。
著者等紹介
垣根涼介[カキネリョウスケ]
1966(昭和41)年長崎県諌早市生れ。筑波大学卒業。2000(平成12)年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。’04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞と、史上初の3冠受賞に輝く。翌’05年、『君たちに明日はない』で山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
660
タイトルがアーサー・ペン「俺たちに明日はない」のもじりなので、青春ハードボイルド小説を想像していたのだが、全く予想とは違ってサラリーマンの悲哀を描く黄昏感の漂う作品だった。また、本書は続編(未読だが)が何作か書かれてシリーズ化されている人気作のようだが、私には垣根涼介の作品の中では(私が読んだのは本作で10作目)それほど魅力的な構想とも思えなかった。また、人物造型にも不満が残る。けっして面白くないというわけではないのだが。あるいはサラリーマン(女性も含めて)の悲哀が身につまされて共感を呼ぶのだろうか。2021/07/08
yoshida
327
リストラ請負会社に面接官として勤務する村上真介。昨今の不況で人員カットに動く企業は多く村上は多忙な毎日を送る。リストラ候補者にも色々なタイプの人物がいる。パワハラとセクハラにより大量の部下を退職させる支店長、待遇は気にせず好きな商品を開発したい研究者、合併により不本意な部署に勤務するメガバンクの行員。人をリストラで退職に追い込む事は、彼らの人生を大きく左右する。そのため、同僚よりも念入りに調査し、仕事に向かう村上の姿勢に好感が持てた。終身雇用も今は昔。自分と家族の生活の為、自分の市場価値を高める事は大事。2016/11/03
takaC
301
面白く読めたけど、固定キャラ(真介、陽子、高橋ら)以外の人たちが通りすがりの登場人物過ぎて深みがないんじゃない。後でまた出てくるような感じじゃないし。初読だったけどずいぶん前に書かれた作品なのね。シリーズらしいから続きも読んでみます。2015/11/11
ehirano1
299
「君たちに明日はない」というよりも「君たちに明日はある(1名を除くwww)」が描かれた作品であるように思いました。しっかし、この仕事は病みますワ。2025/04/05
おしゃべりメガネ
243
垣根さんの中でも大好きなシリーズです。リストラ請負会社に勤務する主人公があらゆる立場のリストラ候補の方々と、仕事に対する情熱、周囲の人々への思いなどを確認しながら展開していきます。‘リストラ’という言葉自体、決して響きは明るいイメージではないかと思いますが、本作は決して後ろ向きにならない、明日、そしてなによりこれからの未来に向かってと思わせてくれるポジティブな展開です。主人公の時にアツく、時にクールになりながらも面談者たちとの奮闘に、とても共感し人間臭さを感じました。自分に対し、信念があるかが大切ですね。2010/09/02