新潮文庫
蟻の兵隊―日本兵2600人山西省残留の真相

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  • サイズ 文庫判/ページ数 278p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101329611
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C0195

内容説明

昭和二十年八月、日本は無条件降伏した。だが彼らの帰還の道は閉ざされていた!北支派遣軍第一軍の将兵約二六〇〇人は、敗戦後、山西省の王たる軍閥・閻錫山の部隊に編入され、中国共産党軍と三年八カ月に及ぶ死闘を繰り広げた。上官の命令は天皇の命令、そう叩き込まれた兵に抗うすべはなかったのだ―。闇に埋もれかけた事実が、歳月をかけた取材により白日の下に曝される。

目次

序章 蟻の兵隊たち
第1章 終戦
第2章 密約
第3章 軍命
第4章 偽装解散
第5章 死闘
第6章 壊滅
終章 真実

著者等紹介

池谷薫[イケヤカオル]
1958(昭和33)年、東京生れ。同志社大学卒業後、数々のテレビ・ドキュメンタリーを演出する。’89(平成元)年の天安門事件以降、中国をフィールドの中心に据え、取材を続けている。映画監督デビュー作「延安の娘」はベルリン国際映画祭をはじめ、世界各国で賞賛された。二作目の「蟻の兵隊」で、日本軍将兵の山西省残留問題に初めてスポットライトを当てる。同作は封切前から話題となり、ドキュメンタリーとしては異例のロングラン上映となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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kinkin

95
戦争が終わっても戦っていた兵隊たち、いや戦わされていた兵隊たちの証言と上官、軍の本部や日本政府がどのように兵隊たちを巻き込んでいったかが書かれている。あの戦争は昭和20年の8月15日で終わっていると思っていた。戦争が終わって75年経っても戦争体験を持っている人はいるのだ。その数は当然のことながらいつかはいなくなる。そうなったときあの戦争のことは文字や映像に残るだろう。でも戦争の持つ凶悪で虚しさを感じることはすくなってゆくのだろう。残念なことにいまだに戦争はなくならない。2020/09/22

kawa

46
終戦直後、中国・山西省で日本軍高級将校に騙され共産軍との死闘に叩き込まれ犠牲となった兵士、生き残って内地に帰還して、さらに国に裏切られた兵士のドキュメンント。「理不尽」「不正義」という言葉が私の頭上を飛び交う。日本という国家、70%位は信じていたのだけれど…。こりゃ、自分の身は自分で守らねばと思ってしまう内容。ちなみに、本件の行政訴訟一審の東京地裁・藤山裁判官は、「藤山コート」と言われるほど、国側に厳しい判決を課すことで高名だった方。その人であっても原告敗訴か…。機会があればじっくり判決文を読んでみたい。2020/11/21

B-Beat

37
◎終戦後も中国に残留した日本兵。かつて読んだ「不毛地帯」は戦後シベリアに捕虜として抑留された兵士、そして「大地の子」は中国に残らざる得なかった孤児のお話。それらの作品は平和な世の中にあって、時代に翻弄された人々を決して忘れてはならないと教えてくれた。本作は、ある意味それ以上に過酷で辛辣で理不尽な情け容赦ない現実を明示する。「誰が好き好んでまだ人殺しを続けますか」。命令した人間は悠々自適な人生を送り、国家は無視を決め込む。国家の存亡が第一であって要素の一部に過ぎない国民はすべて蟻のような存在?そんな読後感。2014/11/22

Willie the Wildcat

35
国際法、ポツダム宣言、国共内戦、戦犯問題などが、終戦の混乱に拍車。軍律が未だ有効下の兵士の選択肢とは?現地除隊に、果ては逃亡兵・・・。澄田軍司令官の回答vs.今田大佐の妻への手紙。対照的な読後感。2011年奥村氏が去る・・・。真実は1つだが、1つ故に『疑わしきは罰せず』。頭で理解しても、心の納得感を得られない。金銭ではなく名誉。応えられなかったのか、応えなかったのか。真実も鬼籍へ・・・。2014/04/14

ちさと

24
祖国復興・後衛尖兵論を謳う軍高級幹部の軽挙妄動のせいで、降伏後の武装解除が進む中、中国国民党系軍閥の部隊に編入された将兵2600人。犠牲的精神で残留を承諾し、耐えた四年余りの死闘と長い抑留生活の末知った事実は、現地除隊(残留希望者)というでっちあげがあったこと。ポツダム宣言に違反する将兵の残留責任を避ける為、現在も国はこの一連の山西省残留を日本軍としての活動とは認めていない。そしてこの問題も、闇に葬られている真実のうちの1つに過ぎないはず。2018/09/15

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