内容説明
実は、校長先生はがんなのです―。そう告白した大瀬先生を見つめる子供たちは泣いていた。新設校のリーダーとして奔走する最中の末期がん宣告。しかし、病にも衰えない情熱に導かれ、茅ヶ崎市立浜之郷小学校は生徒・教師が一体となってかけがえのない「学びの共同体」へと成長してゆく。死の恐怖に苛まれつつも、最後まで真摯に現場と向き合う教育者の姿を追った感動のドキュメント。
目次
発病
創学
開校
教師改革
転換
再発
信仰
故郷
家族
命の授業
継承
最後の授業
臨終
別れ
萌芽
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hatayan
33
新設された小学校で志半ばにしてガンを患った校長先生。教壇に立つことが治療であるとして、自らを題材として「いのちの授業」を行います。 「最も静かな音、最も満ち足りた静けさは、巨大なパワーを制御する力によって実現する」キリスト教の洗礼を受け、聖書の言葉に触れて先生は静かな最期を迎えます。 「家族ではなく学校を選んで、命ある限り思いを伝えようと頑張ってくれた校長先生。その気持ちは全部じゃないけど分かった気がする。」先生を偲ぶ場で生徒は絞り出すように語りました。思いは、確かに子どもたちに受け継がれたのです。2019/05/22
taku
16
教育理念を実現するための情熱は、がんにも侵されなかった。私は志半ばで倒れた人とは思わない。限られた命の中で、出来ることをやり遂げた方だ。自分という人間の命も教材として、子供たちと、子供たちに向き合う教育者へ"いのちの授業"をした方だ。余命宣告。後悔と孤独が激しく襲ってくることもあったと思う。教育者であり続けることが、薬になったのではないかと勝手に想像する。大瀬校長は風になった。その風は今も吹き、理念は継がれていると信じよう。2019/03/04
ヒヨコのたまご
1
いいノンフィクションです。最後は涙が止まりませんでした。2010/06/06