内容説明
子供のころ、ぼんやりと夢見た光景に導かれるように、私は自由を求めて西を目指し、この島に辿りついた。そこで、海を見下ろす丘に持った「私だけの家」―。目の前の「楽園」を存分に味わい、愛と性の迷宮を軽々と飛びこしてきたタヒチの女。昨日の追憶と明日の思案に明け暮れ、「いま」を無視する日本人。愛と性、男と女の諸相をスパイシーに論じ、近代文明の有様に匕首を突きつけるエッセイ。
目次
南の島の「私だけの家」
西を目指す女
怠惰は悪徳か?
「愛」を笑いとばす女たち
「愛」を笑いとばす女も嫉妬する
赤ちゃんを作るのにいい日
ブリリッ
東に戻る旅
腐った「今」と熟れてない「今」
世界は競争に満ちている〔ほか〕
著者等紹介
坂東真砂子[バンドウマサコ]
高知県生れ。奈良女子大学住居学科卒業後、ミラノで建築とデザインを学ぶ。帰国後、児童小説を書き始め、四冊の童話を刊行。1993(平成5)年『死国』を発表。以降、『狗神』『虫』『桃色浄土』『蛇鏡』など、日本人の土俗的感性に密着した伝奇小説を相次いで発表する。’96年、『桜雨』で島清恋愛文学賞、翌年に『山妣』で直木賞、『曼荼羅道』で2002年の柴田錬三郎賞を受賞。’98年3月よりタヒチ在住
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感想・レビュー
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蛇の婿
9
題名と表紙から、主に南の島に暮らす女性についての、日本で暮らすわれわれと違うモラルや生活風景などのエッセイを期待していたのですが、それらに関してはちょっとしか書かれておらず、主に坂東さんの女性観、坂東さんから見た日本の女性や恋愛のありかた、家族関係や夫婦関係など…のエッセイでした。しかし、これはこれで面白いと思います。私個人は全てに賛同はできませんが、男女間の感性の違いもありますし、ま、いいんでないかな?w、などと思いつつ読了させていただきました。…わしも南の島に住みたいものだのうww2012/10/13
cithara
4
著者はタヒチ在住なのに、日本の土俗的な小説を数多く書いていることに驚く。そしてあまりにも無防備な生活をしていることにも。夜這いを二回もかけられるなんて、いくら開放的な土地といえども著者は不用心すぎると思った。でもタヒチに家を建てて一人で住むなんてすごいことだと思う。私には真似できない。しかし川端康成に代表とされるような日本文学の旧弊さや「女三界に家なし」という言葉に違和感を持つような彼女だからこそ日本にはいられなかったのだろう。タヒチのように、美しくても自己中心的な女は日本では許されないだろうな。 2012/06/10
yumiha
3
坂東眞砂子の問題意識には共感できるが、その結論にはどこかしら違和感を持った。2012/07/23
猫草
1
日本において女であることは性的競争にどっぷり浸かっているくせに そんなことは どこの世の話かしらといわんばかりの阿呆面を下げている状態を意味する!!坂東眞砂子の女性観 これにあり!2014/04/09
さゆ
1
ふぅん。。。と納得できる箇所がちりばめられていた。2012/05/31