内容説明
長男の不祥事により所轄へ左遷された竜崎伸也警視長は、着任早々、立てこもり事件に直面する。容疑者は拳銃を所持。事態の打開策をめぐり、現場に派遣されたSITとSATが対立する。異例ながら、彼は自ら指揮を執った。そして、この事案は解決したはずだったが―。警視庁第二方面大森署署長・竜崎の新たな闘いが始まる。山本周五郎賞・日本推理作家協会賞に輝く、本格警察小説。
著者等紹介
今野敏[コンノビン]
1955(昭和30)年北海道生れ。上智大学在学中の’78年に「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞。レコード会社勤務を経て、執筆に専念する。2006(平成18)年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、’08年、『果断―隠蔽捜査2』で山本周五郎賞と日本推理作家協会賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
717
シリーズの1は未読なのだが、同シリーズ中では最高傑作と評される2から読むことに。とりわけて不都合はなさそうであった。主人公の竜崎伸也は大森警察署長、階級は警視長(所轄の署長にしては異例の高さ。なにしろその上には警視監と警視総監しかないのだから)。もちろんキャリアである。本書は(本シリーズは)、この人物に寄りかかって成り立っている。面白いことは面白いが、その構造は単純でわかりやすい。変人(実は極めてまっとう)とされる竜崎を軸に逆照射する形で警察組織の硬直化を描き出すのである。はぐれ者の戸高刑事もまたしかり。2022/03/24
サム・ミイラ
532
このシリーズの最高傑作。前作は主人公竜崎伸也の生き方や考え方に主眼が置かれ、読者はその選民的官僚的な物言いに反発嫌悪し、そしてなぜか好きでたまらなくなり彼の魅力の虜になるところまでだったが、今回は大森署の署長に左遷された竜崎が様々な軋轢と板挟みの中、俯瞰的に事件を捉え解決に奔走する姿が描かれていて非常に読み応えがある。特に特殊部隊と警視庁幹部たちを相手に三つ巴の駆引きは胸を熱くさせる。今野敏の文章は的確平易で読みやすく、それでいて詩情がある。私の中では数ある警察小説の中でも最も好きなシリーズである。2013/05/20
ehirano1
482
“ミスター原則”の竜崎がマシンから人間らしくなってきたのが印象的でした。そしてやっぱり奥さんの冴子さん、あなたは最高かつ最強!でも今回はちときつかったですね、お大事に。2018/01/07
stobe1904
402
【隠蔽捜査②】家族の不祥事のため所轄の署長に左遷された竜崎だが、着任してまもなく立てこもり事件が発生するが…。合理的であり、迷った時には原理原則に立ち戻るブレない竜崎は健在。警察組織間や家族の間の軋轢や葛藤に加えて、立てこもり事件をめぐるミステリ色が濃厚となり、読み応え十分。心が弱っているときに、状況に流されず原理原則に立ち戻る勇気を与えてくれる素晴らしい作品だった。次作もとても楽しみ。★★★★★2023/03/21
zero1
402
部下を持つすべての人は本書に学べ!原理原則は現場でも通用するのか?竜崎の真価が問われるシリーズ第二巻!強盗犯が逃走し立てこもり事件を起こした。SAT(特殊部隊)の突入で犯人を射殺したことが問題視される。左遷人事で大森署の署長となった竜崎は着任早々ピンチに。加えて家庭でも問題が。犯罪現場が出てきたことで、警察小説らしさが増した。この巻のMVPはズバリ宮崎駿!理由は読めば分かる。妻の冴子もいい脇役。表情の読めない副署長は敵か味方か?戸高はジョーカー?竜崎とのコンビは興味深い。再読だが第三巻「疑心」も楽しみ。2018/11/11
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