出版社内容情報
わかり合えないと切り捨てたはずの人の一生が、どうしてこんなにも胸にかなしみを溢れさせるのだろう。病再発の不安を振り切るように出た旅先の大阪で、通りすがりのやさしさに触れて気づく友への哀惜が涙を誘う表題作「あめりかむら」。下町の古本屋を兼ねた居酒屋での人情ドラマ「大踏切書店のこと」、いじめに遭う幼子と、犬との心の交流を描いた「クリ」など魂を揺さぶる5編の小説集。
内容説明
わかり合えないと切り捨てたはずの人の一生が、どうしてこんなにも胸にかなしみを溢れさせるのだろう。病再発の不安を振り切るように出た旅先の大阪で、通りすがりのやさしさに触れて気づく友への哀惜が涙を誘う表題作「あめりかむら」。下町の古本屋を兼ねた居酒屋での人情ドラマ「大踏切書店のこと」、いじめに遭う幼子と、犬との心の交流を描いた「クリ」など魂を揺さぶる5編の小説集。
著者等紹介
石川千[イシダセン]
1968(昭和43)年福島県生れ。2001(平成13)年「大踏切書店のこと」で古本小説大賞を受賞。’11年発表の「あめりかむら」が芥川賞候補、同「きなりの雲」が芥川賞候補、野間文芸新人賞候補、’15年発表の「家へ」が芥川賞候補、野間文芸新人賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akiᵕ̈
31
可愛らしい装丁が好み。五話からなる短編。表題にもなっている一話目の「あめりかむら」。やっと解放されると思っていた矢先の病気の再発が疑われ不安を抱えながら旅に出た大阪。怪しげな人たちとの交流する中で突如見舞われた苦しみに脳裏を過ったもの。表裏一体の生と死について思う。五話目の古本屋を兼た居酒屋の話「大踏切書店のこと」は、年寄り婆さんたちとの交流が描かれていて、とてもゆ〜ったりとした時間が流れている。表現が独特な文章となっていて、文学的な物語だった。2024/08/13
ゆきらぱ
26
ストーリーがどれも良かった。小説の中なのに、あ、これは私の気持ちだ、とうまく表現してもらえて救われるようになることが多かった。 2024/10/20
だのん
21
5つの短編集。楽しいだけではない経験をしながら大人になり、過去を思い出したり、あきらめに似た思いの中で静かに暮らしていく、常に生と死に近いところにいるような世界の物語が多く感じました。表題作と『大踏切書店のこと』が特に心に残りました。初めての作家さん、ほかの作品もぜひ読みたいです。2024/08/24
凛
19
石田千さんの作品を初読。初読みと言うこともあってか、文章に読みづらさを感じる部分も多かったです。代表作『あむりかむら』も含め5つの短編からなりますが、全体的に静かな暗さと喪失、死、そして生が描かれています。中でも『あめりかむら』が一番私は好きで、自分自身が病からの死への恐怖を味わいながらも、自死した友人への複雑な感情を抱く主人公の心理描写に考えさせられることが多かった。2024/08/13
ルカ
18
短編集。大きな病気を患って、初めて見えてくるものがあるのだろう。急に命の重さを感じて。 ほとんどの短編が痛みがにじむ物語だった。経験したかもしれない、経験するかもしれない。穏やかだが何か引っかかりが残った。2025/05/16
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