内容説明
通常、ハワイと呼ばれる太平洋上の島々。しかし島本来の言葉では、ハワイイと発音される。「南国の楽園」として知られる島々の、本当の素顔とは?キラウエア火口を覗き、タロ芋畑を見に行き、ポイを食べる。サーフィンやフラの由来を探り、航海技術の謎を探る…綿密な取材で綴る、旅の詳細なレポート。文庫化にあたり、新たに2章を追加した。ハワイイを深く知りたい人必読。
目次
淋しい島
オヒアの花
秘密の花園
タロ芋畑でつかまえて
アロハ・オエ
神々の前で踊る
生き返った言葉
波の島、風の島
星の羅針盤
エリックス5の航海
鳥たちの島
マウナケア山頂の大きな眼
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
470
初めて単行本にて読んだ(それが池澤さんとの出会いでもあった)のは、初版にて。当時住んでいたオアフ島に、出版業界の中のヒトの友人が泊まりに来ており、読み終わったから、と置いていってくれたのだった。以来、わたしのハワイ・バイブルの3冊のうちの一冊となっている。さて今作は【完全版】と謳い、新たに二章を追加。マウナケアのすばる観測所の開所式に参加したのが昨日のことのように思い出される。ハワイ好きは必読。2024/07/31
ヴェネツィア
195
表題がハワイイとなっているのは、もちろん著者の池澤夏樹が意識的にそうしているからだ。つまり、アメリカの50州のうちの1州としてのハワイではなく、それ自体が独自の歴史と文化を持った特別な存在としてのハワイイ(本来のハワイ語)なのだ。五百数十ページに及ぶ大著だが、ここには観光案内や、通常の紀行としてのそれではないハワイイが描かれている。書かれた範疇も、花々や昆虫あるいは鳥類といった生物相から、タロイモ、サーフィンから、果てはマウナケアの「すばる」望遠鏡にまで及ぶ雄大なもの。まさにハワイイの多様な側面の考察だ。2014/10/22
chantal(シャンタール)
91
母音の強いハワイ語の発音だと「ハワイイ」と聞こえるらしく、題名もそのまま「ハワイイ紀行」としたそう。とにかく読んでいてハワイに行きたくなる。「所詮リゾートでしょ?」と愚かな偏見を持っていた自分を殴ってやりたいくらい、素晴らしい場所なんだなあ、ハワイは。そして白人のやる事のえげつなさ・・これを言うとキリがないので言わないけど。人間はやはり自然と共に生きて来たことを忘れてはいけないよね。おっとりとしたハワイの雰囲気がとても良い。文庫化で追加されたミッドウェイの話も面白かったなあ。アホウドリに会いに行きたい。2021/06/08
momogaga
37
読メ開始以前の既読本。「森羅万象」を愉しむをテーマにした雑誌『SINRA』に連載。題名の「ハワイイ」にも表われていますが、ハワイへの思いがこもった佳品でした。
piro
35
再読。独特の文化や歴史をもった「ハワイイ」の濃密な紀行文。観光地としての姿ではなく、独自の文化的背景や自然、そして白人による文明化により破壊・収奪されたハワイイのアイデンティティについて丁寧に語られます。自然を畏れ敬い共生する彼らの価値観は、アイヌの人々と似たところもあり、比較的私達と近い自然観なのだなぁと改めて感じると共に、大切にすべきものを再認識させられた気がします。何度か訪れていて、リゾートとしても大好きな場所ですが、こうしたハワイイ独特の自然観にも強く惹かれます。2022/04/03
-
- 和書
- にこちゃんとぷんぷんまる