新潮文庫
明治天皇〈4〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 501p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101313542
  • NDC分類 288.41
  • Cコード C0121

内容説明

日露戦争で、明治天皇が旅順陥落の勝利に示した反応は、敗北したステッセル将軍の名誉を保てるよう指示することだった。「大帝」と呼ばれた開明的君主の心にあったのは「平和への願い」だったのである。日本が韓国を併合、極東支配を強化しつつある1912(明治45)年7月30日、明治天皇は崩御する。卓越した指導者の生涯を克明に追い、明治という激動の時代を描き切った伝記文学の金字塔。毎日出版文化賞受賞作。

目次

皇孫裕仁誕生
ロシア東方進出
暴君ニコライ二世
「敵艦見ゆ」
シオドア・ルーズベルト
韓国皇帝高宗の抵抗
生母慶子の死
伊藤博文と安重根
韓国併合
「大逆」の陰謀
天皇崩御
乃木希典の殉死

著者等紹介

キーン,ドナルド[キーン,ドナルド][Keene,Donald]
1922(大正11)年、ニューヨーク生れ。コロンビア大学名誉教授。日本文学の研究、海外への紹介などの功績によって’62(昭和37)年、菊池寛賞、’83年、山片蟠桃賞、’90(平成2)年、全米文芸評論家賞、’93年、勲二等旭日重光章を受章。2002年、文化功労者に選ばれる。『百代の過客』(読売文学賞、日本文学大賞)、『明治天皇』(毎日出版文化賞)など著書多数

角地幸男[カクチユキオ]
1948(昭和23)年、東京生れ。早稲田大学仏文科卒。ジャパンタイムズ編集局勤務を経て、城西短期大学助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

五右衛門

45
読了。長くかかりましたが…最後の最後までご自身の哲学?信条を頑なに突き通した方だったんだなと。皇祖を敬いまた臣民を親しみ、また諸外国に対しては最後まで平和を望み、大きな戦役の後も親睦を望まれ。又個人の自由な時間など全く持てず思い通りに行かない事も多くあったにも拘らず。がしかし、謁見などは疲れた素振りを全く見せず何と、何とお心が強い御上だったと思いました。やはり日本の誇れる天皇の中でもかなり傑出した天皇のお一人だと思いました。キーン先生のおかげで遠くの明治帝に半歩近づけました。明治神宮お参りさせて頂きます。2021/07/10

姉勤

42
欧米列強がロシア南下を危惧する新世紀の始めに、日英同盟と不平等条約の撤廃は一等国の格を日本人にもたらし、日露戦争の連勝の狂騒は、のちの虚無感の蔓延、自尊の拡大と化し、保護を誓った大韓の併合へ至る。敵の敵は味方の共通の敵が力を失えば、味方もやがて敵となる。劣等なる黄色人種の「帝国」台頭を阻止するという世界のフェーズが移る頃、明治という時間を世界に刻んだ大帝が崩御する。民に戴かれた稀代の名君は、エゴを殺し、範を示し、臣に任せた。その徳を、世界に知られたミカドの姿を、漠とした巨きなもの、神と見立てる人々もいた。2015/09/29

奏市

13
不覚にも何度か胸が熱くなりうるっときた。四巻通して、争いより和を好み、倹約を旨とし、戦時や演習時は自分だけ安楽な生活することを許さず兵士たちと同様な質素な生活するよう強いる欧米人たちからはこんなに優れた君主はいないと書かしめた偉大な人だったんだと感じた。絶大な信頼を置いていた伊藤博文の暗殺の報せを聞いた時、どんなに驚愕し心細かったかと思われるに、「うん」とだけ応えたとは。精神力が想像つかない。「朕は京都が好きである。故に京都に参らぬ」と語ったと。とことん自分に厳しい人だった。文化の日は明治天皇の誕生日。2023/01/15

hiroizm

10
第四巻は明治33年から崩御まで。日露戦争、韓国併合を経て、困難な情勢の中アジアの新興帝国へと急成長したが、これ読むとかなり綱渡りで多くの犠牲の上に成り立ってる感があり滅入る。併合されることになった琉球、台湾、戦争の舞台となった清国、朝鮮には同情しかない。日本の幸運は、自制心強く聡明かつ冷静で聞く耳を持った明治天皇がいたこと、切ないことだが時として犠牲を厭わず冷酷非情な行動をとった日本の為政者の存在がある。読んでみれば日本だけでなくアジア地域の近代史を俯瞰的に観れるお得な本だった。2019/02/17

ホン

8
明治天皇の記録に関し 公の文書しかなく自己の感情を表した私的なものは存在しないらしい。ドナルド キーン氏は明治天皇が残した10万にも及ぶ和歌、俳句からそれを読み取ったらしい。凄い洞察力であり また的確のように思える。安重根にしろ幸徳秋水にしても日本国を恨んでも明治天皇は崇拝してたという。その人柄は世界中の要人をはじめ万民が認めてたようだ。今の皇室にもそのまま通じてるように思える。遠い昔 、父に連れて行かれた明治記念館で和田三造氏が描いた立派で大きな明治天皇の肖像画が思い出される。2019/11/21

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