内容説明
１８８９（明治２２）年、大日本帝国憲法が発布、翌年には第一回帝国議会が開かれた。いっぽう朝鮮をめぐる清国との対立は、東学党の乱を機に激化。日清戦争が勃発すると、天皇は大本営の置かれた広島に移り、継ぎを当てた軍服を着て兵たちと労苦を共にする。アジアの老大国を相手取った日本の勝利に国際社会は驚き、「ザ・ニューヨーク・サン」紙は明治天皇を「不世出の英主」と絶賛した。
目次
執政大院君
岩倉具視の国葬
江戸の舞踏会
皇太子嘉仁親王
キョッソーネの御真影
学ヲ修メ業ヲ習ヒ
ロシア皇太子襲撃
陸奥宗光の条約改正案
清国ニ対シテ戦ヲ宣ス
「旅順虐殺」ヲ目撃ス
清国全権代表 李鴻章
閔妃暗殺
英照皇太后の死
藩閥薩長の終焉
清国の「神風連」
著者等紹介
キーン，ドナルド［キーン，ドナルド］［Ｋｅｅｎｅ，Ｄｏｎａｌｄ］
１９２２（大正１１）年、ニューヨーク生れ。コロンビア大学名誉教授。日本文学の研究、海外への紹介などの功績によって’６２（昭和３７）年、菊池寛賞、’８３年、山片蟠桃賞、’９０（平成２）年、全米文芸評論家賞、’９３年、勲二等旭日重光章を受章。２００２年、文化功労者に選ばれる。『百代の過客』（読読文学賞、日本文学大賞）『明治天皇』（毎日出版文化賞）など著書多数
角地幸男［カクチユキオ］
１９４８（昭和２３）年、東京生れ。早稲田大学仏文科卒。ジャパンタイムズ編集局勤務を経て、城西短期大学助教授（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
五右衛門
42
読了。解説も読みつつ時間がかかってしまった。維新の名だたるメンバーがこれ程揃っていながら何と我儘し放題なのだろう。派閥、出身閥、保身。で困った時ほど陛下御採決を。何やってんだ。日清戦役も読めば読むほど辛くなりました。それでも臣下達を親しみ、自身（皇子皇女等の薨去）の辛さをも飲み込み日本国の為のみに邁進しておられる姿に感泣の想いでした。またまた一息入れて最終巻へ。2021/06/26
姉勤
28
憲法発布、国会の開催、教育勅語と近代国家として体裁を整え、治外法権などの不平等条約の解消を目指す明治二十年代。朝鮮の独立と清国の干渉を排除するため、清国へ宣戦を布告する日本は、兵站を軽んじること、根拠なき精神論、蛮勇の英雄視など、大東亜戦争の大過の要因を成功体験として、日清戦争に勝利する。西欧の帝国主義に倣った清国への苛烈な賠償要求は、三国干渉を招き、独立させた大韓の離反を招く。日本軍の戦地の残虐行為に国際的批判が集まるが、皮肉なことに、その強猛なる軍事力を認められ、不平等条約は解消される。2015/09/09
奏市
14
全四巻中の三巻目。憲法制定、日清戦争などあり国事に忙殺される明治天皇。皇太子以外の我が子に会うのが年2回だけの年なども。国政を託す政治家の決定や皇太子の健康状態・教育など頭を悩ます事多数。1ページ目の凛々しい君主らしい肖像画。写真嫌いであった天皇の御真影の作成の為、イタリア人画家に行幸中こそっと写生させたと。大変だ。皇后は結構天皇に代わり行事に出席してるし軍事訓練見るのが好きだったりして快活な女性だったよう。「日本酒からワインに切り替わっていたとはいえ、天皇は相変わらず大酒を嗜んでいた」。それでこそ。2022/04/24
hiroizm
11
第三巻は明治15年から30年までを描いている。鹿鳴館の時代、憲法の発布など順調に近代化がなされてるようだが、朝鮮半島の覇権争いから日清戦争へ、対外的には綱渡りの政策が続く時代。日清戦争時の日本兵による中国人虐殺や、朝鮮王妃の暗殺など、日本がある種のきな臭さをまとい始めた頃でもある。情勢の難しさに維新からの臣下の伊藤博文などが役職から逃げようとしてるのが面白い。また明治天皇が儒教的理想の君主たらんと行動する姿はある種感動的。他国と戦争しない頃は野蛮、戦争し勝てば近代国家と認められるのも皮肉な話。2019/02/14
誰かのプリン
6
義和団の乱で活躍した柴五郎少佐が出て来ないのは、どういう理由からだろうか? 2023/11/16
