新潮文庫
寒灯・腐泥の果実

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  • サイズ 文庫判/ページ数 179p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101312866
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

念願の恋人との同棲生活。しかし病的に短気な貫多は自ら日常を破壊し、暴力を振るってしまう。<秋恵もの>四篇収録の私小説集。

初めて恋人との正月を迎える貫多。だが些細な行き違いから険悪な雰囲気になり、大晦日の夜ついに爆発する。二人の新生活に垂れ込める暗雲の行方は――『寒灯』。いくら邪険に扱っていようと、秋恵への気持ちは微塵も変わっていなかった。しかし暴言や暴力は続き、ついに彼女は去ってゆく。そのあとに残されたものは――『腐泥の果実』。他二篇を収録する私小説集、待望の文庫化。

内容説明

初めて恋人との正月を迎える貫多。だが些細な行き違いから険悪な雰囲気になり、大晦日の夜ついに爆発する。二人の新生活に垂れ込める暗雲の行方は―『寒灯』。いくら邪険に扱っていようと、秋恵への気持ちは微塵も変わっていなかった。しかし暴言や暴力は続き、ついに彼女は去ってゆく。そのあとに残されたものは―『腐泥の果実』。他二篇を収録する私小説集、待望の文庫化。

著者等紹介

西村賢太[ニシムラケンタ]
1967(昭和42)年、東京都生れ。中卒。2007(平成19)年『暗渠の宿』で野間文芸新人賞、’11年「苦役列車」で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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抹茶モナカ

36
北町貫多の待望の恋人秋恵との日々を綴った私小説集。僕自身、大事にしていた恋人に不貞を働かれ、去られた経験があるのに、恋人に未練を残して来たので、大いに共感した。秋恵との喧嘩で、貫多が発する罵声。貫多の業の深さというか、性というか、その下りになると、「言い過ぎだよ。」と思う一方、妙に爽快で、自分と同質の陰険さを感じる。2人の住む部屋等、生活レヴェルは実は悪くない感じで、秋恵もののシリーズはリア充小説でもある。2017/01/03

メタボン

32
☆☆☆☆ 期待通りのろくでもなさ。秋恵にほきすてる罵声も相変わらず。「腐泥の果実」に出てくる秋恵からもらった誕生日プレゼントのペン皿が心憎い道具立てとなっている。パターン化された短篇だが、やっぱり面白くて読み入ってしまった。2022/04/05

harass

23
久しぶりにこの作家を読む。読みだしていつもの独特の文体のリズムに嬉しくなった。別の短編ですでに破局を迎えている同居人との日々を描く。  『ぼく』という一人称の威力に感心する。この一人称を使うことで主人公の甘えと幼児性を意識ささせている。それらに辟易しながらも、誰もが心の奥底に持つエゴを見せつけていることに気がつくからだ。  薄い本の短篇集でちょっとした時間に読めるのがいい。一気に読んでしまったが。  私小説というジャンルが優れているということよりも、この作家/主人公の個性が飛び抜けて面白いのかとも思う。2013/12/19

長谷川透

17
収録された4篇は全て秋恵シリーズで、彼女のファン並びに北町貫多と彼女の滑稽劇のファンは必読である。この短篇集に限らず西村賢太の小説を何篇も読んでいると彼の小説は幾つかの定型を使い回していることに気付いてしまうのだが、不思議と毎度楽しんでしまう。私小説というジャンルは彼の登場によって純文学の中に括りつけてしまうことはもうできないのではないか。変わり種を期待しながたも、どこか毎度のパターンへの落ち付きを楽しんでしまうのは、「水戸黄門」や「暴れん坊将軍」を飽きずに観てしまうのと同じ心境なのだろう。2013/12/08

イズム(清瀬泉夢)

16
さっそく読みました。とにかく面白い。爽快なくらいというか痛快な位のダメ男なのは相変わらずなのですが、いつも思うのが貫太は嫉妬や、僻みなどの負の部分が一段階深くそれが暴言や暴力になってしまい、其のあとの後悔も人一倍深くなる。この流れは毎作書いてありますが根の部分なのでしょうね。でも私小説は傍若無人の人でなければここまで面白くならないし、ましてやそれが一番の才能ですからこれからも貫太を自分は追い続けていきたいですね。何はともあれ賛否両論分かれる作風だと思いますが自分は大好きです!2013/11/28

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