新潮文庫
どうで死ぬ身の一踊り

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  • サイズ 文庫判/ページ数 249p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101312859
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

「師」藤澤清造復権に賭ける狂気じみた情熱と、同居女性へのDV露見を恐れる小心。現代私小説の旗手の文学的原点を示す問題の書。

非運の最期に散った、大正期の私小説家・藤澤?C造。その作品と人物像に魅かれ、すがりつく男の現世における魂の彷徨は、惨めながらも強靱な捨て身の意志を伴うものであった。――同人誌時代の処女作「墓前生活」、商業誌初登場作の「一夜」を併録した、問題の第一創作集。賛否と好悪が明確に分かれる本書には、現代私小説の旗手・西村賢太の文学的原点があまねく指し示されている。

内容説明

非運の長期に散った、大正期の私小説家・藤澤清造。その作品と人物像に魅かれ、すがりつく男の現世における魂の彷徨は、惨めながらも強靱な捨て身の意志を伴うものであった。―同人誌時代の処女作「墓前生活」、商業誌初登場作の「一夜」を併録した、問題の第一創作集。賛否と好悪が明確に分かれる本書には、現代私小説の旗手・西村賢太の文学的原点があまねく指し示されている。

著者等紹介

西村賢太[ニシムラケンタ]
1967(昭和42)年東京都生れ。中卒。2007(平成19)年『暗渠の宿』で野間文芸新人賞、’11年「苦役列車」で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

吉田あや

88
大正時代の作家・藤澤清造の歿後弟子を名乗り、深い尊敬を寄せた西村賢太。ガラスケースに入れた清造の墓標がリビングに鎮座する日常を短篇「墓前生活」として作家人生の始まりに飾ったことは、本人まで彼岸へと旅立ってしまった今、殊更感慨深い。タイトルにも使われた清造晩年の詠句「何のそのどうで死ぬ身の一踊り」。諦観と無念が二律背反する切なさが転じて闇が小さな光を生む力強ささえ感じさせる。思慕の念を象るように目の前に現れた墓標を守ることで、何としても叶えたいただひとつの願いと重ね合わせ、(⇒)2022/02/13

吉田あや

82
圧巻だった。人間は他者に限らず自分にも簡単に嘘をつく生き物でありながら、ここまで赤裸々に魂の独白を書ける凄みに圧倒される。其処此処に後悔の血を流しながらも止められない自分勝手な暴走と暴力性。嫌悪する内容をたくさん含みながらも読むことを止めさせない文章の魅力。無頼の態ながら硬質で美しい文学であり読みやすく真っ正直な生き様の記録に釘づけになる。久坂葉子さんの「幾度目かの最期」を読んだ時のような衝撃と本から発せられる熱に読後は暫し放心状態。西村賢太という文学をこれからもずっと追いかけたい。2015/08/27

佐島楓

64
大正時代の小説家に我が身を重ね合わせ、その全集を編もうとする主人公。彼は同時に酒乱で淫乱で、激すると女性に暴力をふるう男でもある。私小説というくくりで読んだが、これほど題名が内容とマッチしている作品もなかなかない。人間の多面性と自分でもどうしようもない「悪」としか表現しえない部分、ここまでそれをさらけ出せるものかと感心してしまう。哀しい「私小説」である。2017/03/07

たぬ

27
☆4 藤澤淸造愛が本気すぎ。北陸のお寺から東京の自宅へ淸造の墓標を23万5000円かけて運送ってのは驚いたな。同棲している女性には理不尽すぎる理由で暴言吐くし今すぐ救急車レベルの暴力振るうし、もう本当にクズなんだけど淸造愛がガチすぎて霞んじゃうよ。そんな強キャラだけど彼女と会話しているときの一人称は「ぼく」なのがちょっとかわいい。2022/12/02

マッキー

23
交際相手にDVをふるったあと、復縁しようとして急に優しくなる描写にゾっとする。まんま作者を投影している私小説。藤澤への愛も伝わってくる。2017/04/22

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