新潮文庫
暗渠の宿

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  • サイズ 文庫判/ページ数 196p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101312811
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

貧困に喘ぎ、暴言をまき散らし、女性のぬくもりを求め街を彷徨えば手酷く裏切られる。屈辱にまみれた小心を、酒の力で奮い立たせても、またやり場ない怒りに身を焼かれるばかり。路上に果てた大正期の小説家・藤澤清造に熱烈に傾倒し、破滅のふちで喘ぐ男の内面を、異様な迫力で描く劇薬のような私小説二篇。デビュー作「けがれなき酒のへど」を併録した野間文芸新人賞受賞作。

著者等紹介

西村賢太[ニシムラケンタ]
1967(昭和42)年東京都生れ。中卒。2007(平成19)『暗渠の宿』で野間文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

kaizen@名古屋de朝活読書会

181
「うらおもて人生録」色川 武大の後で読んだ。ますます暗くなった。きっと10年後、20年後に、執筆当時の風俗文化を知るための資料としては貴重になるだろうなと感じた。 あるいは、女性が読んで、男性の勝手な振る舞いの根源を把握し、うちの旦那はまだましだと思ってもらうための基準としていいかも。消極的な感想でごめんなさい。今落ち込んでいます。2013/06/20

ふじさん

99
表題作「暗渠の宿」は、野間文芸新人賞受賞作。この薄ら寒い殺伐とした時代に、このような作品を書く作家が存在したことが驚きだ。貧困に喘ぎ、暴言を吐き、女の温もりを求めて夜の街を彷徨し、次々に裏切られ、やり場のない怒りを酒の力に頼るが、思いのままにはならなず鬱積がつもるだけの人生。破滅のふちで喘ぐ男の姿を異様な迫力で描く辛く哀しい劇薬の様な私小説。古い時代の破天荒な生き方をした小説家を思わせる、最後の作家かもしれない。亡くなったことが惜しまれる。 2022/02/08

サワヤマイツキ

86
清々しいほどのクズ。それこそ読んでいて清々しい気分にすらなる。というのも、もっと鈍重でどす黒いものを読まされると身構えていたものの、滑稽な描写や機知に富んだ乙な言い回しがそれを殆ど感じさせないのだ。限りなく品が無いのに、同時に知的でもあるという妙。古風な文体の中で突如“ハリー・ポッター”等が出現すると、現代においてこんな生き様の作家がいるのだ、と改めて瞠目すると共に、普段私が見ているのはごく狭く、それでいて幸福に溢れた(作者の言葉を借りれば“慊い”)一面的な世界に過ぎないのだ、とも。その強い引力を持った→2021/06/04

とら

86
「苦役列車」の他に文学賞に恵まれた唯一の作品だが、良くも悪くもいつも通りの作風だった。でも西村作品の中に何を求めるかって、これしかないのだ。一気読み必至で、読了後はしばらく余韻に浸ってしまうのも相変わらず。こんなもんに浸りたくも無いのに笑 何だろう、将来こうはならない様に自分の中でそう言う思考回路を働かなくしてるのかもしれない。多分この作品に描かれていることは、どこまでも真実なのだろうし、だからどうしようもないとは思うのだが、こんな馬鹿正直に描いてしまうところに、何故か少し愛着まで沸いてしまうのであった。2015/02/21

アナーキー靴下

71
主人公はタガが外れやすく、簡単に暴力行為に及んでしまうきらいがあるものの、自身を分析して赤裸々に綴ったなら、人間の内面なんてこんなものではなかろうかと思えてしまう。これでは私自身がクズだと自白しているようなものか。でも主人公を何もかも諦めなくてはいけない程のクズとは思えない。世間は大なり小なりのクズばかり、皆どこかにあるはずの自分の居場所、受け入れてくれる存在を探し、しかしその出会いを引き当てる難しさ、無数の可能性からチャンスを掴むのは干し草の針探しだと見せつけられ、この世の寂しさ悲しさに心細くなる。2021/04/12

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