内容説明
かけがえのないもの、それは人の手のはいっていないもの、すなわち自然、子ども、からだ…。予測のつかないそれらとの付合い方を、日本人は知っていたはずだ。結果を予測し、何事にも評価を追い求める生き方はつまらない。何が起きるか分からないからこそ、人生は面白い。自分で考え、まずやってみよう。養老先生が一番言いたかったことをまとめた、養老流人生論のエッセンス。
目次
第1章 自分のことがわからない
第2章 人間の構造
第3章 かけがえのない未来
第4章 わけられない自然
第5章 かけがえのない身体
第6章 からだは表現である
第7章 自然と人間の共鳴
第8章 かけがえのない自然
終章 意識からの脱出
著者等紹介
養老孟司[ヨウロウタケシ]
1937(昭和12)年鎌倉生れ。解剖学者。東京大学医学部卒。東京大学名誉教授。心の問題や社会現象を、脳科学や解剖学などの知識を交えながら解説し、多くの読者を得た。’89(平成元)年『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。新潮新書『バカの壁』は大ヒットし2003年のベストセラー第1位、また新語・流行語大賞、毎日出版文化賞特別賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
125
「かけがえのない」とは、それが一つしかないこと。私たちは一回限りのかけがえのない心を得ています。人が決して作ることのできない身体を持っています。波や虫、人間が意識して作れないものを見てほしい。一本一本の木は、葉っぱがどう並んでいるのか。お互い影にならず配列され、太陽光を最大限に浴びています。都市は人間が考え作り出した便利でありながら不自然な世界。取り替え可能なものだらけ。かけがえのない人間がその中で安らぐことはありません。都市や意識という不自然から脱却すると余裕が生まれ、かけがえのないものが見えてきます。2019/10/24
Comit
66
積読本から~人の生と死、現代の日本が抱える問題点など、わかりやすく教えてくれる人生の教科書のような一冊。長年解剖学を研究してきた著者の「生老病死」の人生観には共感しました。現代医学は身体を複数の視点で捉え、時には数値化された検査結果そのものが、生身より重視される。平準化と除外は、医療だけでなく教育、社会、自然、どの分野でも見られ、著者はこれを「都市化」と呼んでいます。本来、区切りのないものに区切りを付けようとするからおかしくなる。読んでいて妙に納得しました。時間を置いて再読します。2021/03/05
団塊シニア
57
「結果を予測し何事にも評価を追い求める生き方はつまらない、なにが起きるかわからないからこそ人生は面白い」という言葉こそ筆者のいいたいことのような気がする、ゆったりした生き方をするには未来、無意識、自然を大切にする生き方かもしれない2014/05/16
mai
44
養老孟司さんの本が好きで、色々と読ませていただいていますが、こちらも面白かった。講義を出版社がまとめて、とのことで、わたしも実際に講義を聴ける機会があったらなぁ。と思いました。2017/08/09
Kikuyo
39
私達は普段あまりにも単純化した物の見方をして、画一的な発想をしているなと思う。「自分の感覚」で捉えたと思っていても、実は刷り込まれた情報をもとにしていたのかも…。人工身体と自然身体という言葉が出てきて、少しとハッとした。人工身体にはキュア(治療)自然身体にはケア(介護)。社会はさらに脳化がすすむと思われる。「自然」をについて考えてみることはとても大切。「我々の作り出すものは、我々の身体を無意識に外に出したものではないか」という発想が興味深い。2017/03/08
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