出版社内容情報
後世の人々よ、本ものの宇治十帖を語ろう、語りましょう――。源氏物語が世に広まって百年あまり。改竄され流布した物語を正すため、紫式部が怨霊となって蘇り、宇治十帖のその真の姿を語り出す。やがて発表された物語は、人々の思惑とともに時代を動かし始め、壮大な女たちの裏切り合いに発展していく――。読売文学賞、野間文芸新人賞の二冠に輝いた、?と欲望渦巻く、全く新しい源氏物語。
内容説明
後世の人々よ、本ものの宇治十帖を語ろう、語りましょう―。源氏物語が世に広まって百年あまり。改竄され流布した物語を正すため、紫式部が怨霊となって蘇り、宇治十帖のその真の姿を語り出す。やがて発表された物語は、人々の思惑とともに時代を動かし始め、壮大な女たちの裏切り合いに発展していく―。読売文学賞、野間文芸新人賞の二冠に輝いた、嘘と欲望渦巻く、全く新しい源氏物語。
著者等紹介
古川日出男[フルカワヒデオ]
1966年、福島県郡山市生れ。’98年『13』でデビュー。2002年『アラビアの夜の種族』で日本推理作家協会賞、日本SF大賞、’06年『LOVE』で三島由紀夫賞、’15年『女たち三百人の裏切りの書』で野間文芸新人賞、’16年には読売文学賞を受賞。戯曲『冬眠する熊に添い寝してごらん』(’14)ならびに「ローマ帝国の三島由紀夫」(’18)は岸田國士戯曲賞の候補となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
47
面白かったです。紫式部が怨霊として宇治十帖の真の姿を炙り出すことで、やがて時代を動かし始めたのみならず女たちいの裏切りに発展していくのにのめり込みました。嘘と欲望に渦巻いた物語。全く新しい源氏物語と言えるでしょう。2025/04/30
Matoka
11
なかなか…。読むのにとても時間かかかった。宇治のパートの語り口はとてもよかった!蝦夷とか海賊のパートが読みにくいのと結局何が何やらわからなくて、挫折しそうになりながらもなんとか読了。物語が入子状態になってて不思議な世界観だった。2024/03/07
Ryo0809
0
藤原姓の娘、藤(紫)式部が平安後期に憑依して語り始める…。宇治、憂し、氏という三つの語と藤、紫、源という語がどこまでも絡みあっていく。宇治は宇治十帖に、憂しはこの世の乱れと憂いを、氏は台頭し始める武門に、それぞれなぞらえている。憑坐を介して物語る式部の語り口が面白い。物語のはずが書となり広く読まれ出すと、いつの間にか現実と溶け合って見境いがなくなる…。その何とも言えない頼りなさ(浮遊感)が楽しめる不思議な「書」。仕掛けられた伏線を読み解ければもっと楽しいのだろうが、一読後ではそこまで辿り着けずだった。2024/01/18