内容説明
一億人の心臓を鷲づかみにした「神戸連続児童殺傷事件」。審判は終わった。真実は詳らかにされることなく、少年Aは闇の中に消えた―。彼の内なる「酒鬼薔薇聖斗」はいつどんな家庭で産声をあげたのか。母親は魔物の誕生に気付かなかったのか。第一級捜査資料に綴られた生々しい「肉声」。少年が初めて語る狂気と虚無、そして両親の慙愧…。今ようやく浮き彫りとなる驚愕の全貌。
目次
序章 池のほとり
第1章 家族の風景
第2章 その前夜
第3章 凶行
第4章 わが子が「酒鬼薔薇」だと知った時
第5章 精神鑑定の衝撃
第6章 殺した理由
終章 森の道
著者等紹介
高山文彦[タカヤマフミヒコ]
1958(昭和33)年、宮崎県高千穂生れ。学生時代は探検部に所属。’95(平成7)年と’98年の二度にわたり雑誌ジャーナリズム賞の作品賞を受賞。’99年刊の「火花 北条民雄の生涯」で大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
41
28年も前の事件の当時の報道が甦る。娘達と「加害者の親も子も可哀想やね」の言葉に「殺された親の方がもっと可哀想や」。魔物と呼ばれた少年だが、本当に魔物が住んでいたのだろうか。親の愛情不足?躾が厳しかった?。今のようにADHDが理解されていたわけではない。ましてや直観像素質者なんて理解されていない。不幸な偶然の産物として「少年A」が登場した。今の私達の生活に「少年A」のような犯罪を犯す者が絶えないのは何故?。親の愛情不足だけでなく、誘我灯のようにひきよせるスマホやゲームの発展にも一端が?事無かれ主義の学校?2015/04/25
かおる
28
宮部みゆきさんの本で紹介されていたので読んでみました。なぜ酒鬼薔薇聖斗は登場したのか、明確な理由を探しつつ本を読みましたがわかりませんでした。でも最後の宮部みゆきさんの解説通り簡単に分かった気になってはむしろいけないものかもしれません。2019/01/27
スノーマン
25
事件当時の衝撃は忘れられない。残虐極まりない犯行、カクカクした字の異常な声明文、そして犯人がすぐ近くの14歳だったこと。犯行前にカウンセリングを受けさせていた親、彼の異常さに気がついていた教育現場に携わる人々、友人。誰も周りにいなかったわけではない。でも彼は一人きりと感じていたんやな。毎日の生活を懲役と例えるくらい…。どうしても親目線になってしまい、発達障害っぽい様子が書いてあると他人事とは思えず、人を殺すことに行き着く姿が悲しいが、自分の苦しみを解消するために奪った命の重さはあまりにも大きい。2014/06/27
パラ野
23
事件が起こってから1年後くらいに書かれた書籍だそう。登録する際に、著者の名前で検索したら、昔の小説からの引用が多く、手法になるほどなあと納得してしまった。読みながら、この会話文は、どうやって構築したのか、と疑問を挟みながら読んだ。祖母の死からの流れは、どことなく宮﨑勤の事件を追っているような気分になり、学校の教師から疑われる過程、厳しい母親、次第に一つの流れになり勢いづくようだった。児童相談所のカウンセリングに行くところから加速するのは、なぜなのか。もう少し探れたら。2015/02/09
ヨクト
21
少年犯罪、猟奇的殺人、少年法・・・当時、世間を揺るがせた「神戸連続児童殺傷事件」のノンフィクション。「酒鬼薔薇聖斗」の名の方が知られているかもしれない。14歳の少年が小学生を猟奇的に殺害し、家族・学校を恐怖に陥れた。何が彼を犯行に向かわせたのか。読んでみての印象は、少年Aは小学生の頃から普通の少年ではなかった。だが、母親の愛情、祖母の死と同情できる部分もある。猫を殺すなどの行為が発覚した時点で、家族や学校にはもっと彼と対話する必要があった気もします。2013/05/22
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