内容説明
トーヨー製薬の若手社員・小田切健吾は、海外駐在を任される将来を嘱されたエリートだった。だが、派閥抗争に巻き込まれ営業部門へと左遷されてしまう。営業先で目の当たりにする横暴な医師や歪んだ医療現場。そして、自らも健康を害して、病気休職を余儀なくされる。サラリーマンに救いはあるのか。組織の非情さがいかに個人を蝕むかをあますところなく描いた渾身の長編経済小説。著者は、本作の主人公と同じ病気だった!自らの病気休職とサラリーマン人生、作家デビュー当時を語る、巻末付録・著者インタビュー「その頃の“わが身”」を収録。
著者等紹介
高杉良[タカスギリョウ]
1939(昭和14)年、東京生れ。化学専門紙記者、編集長を経て、’75年「虚構の城」で作家デビュー。以来、経済界全般にわたって材を得て、綿密な取材に裏打ちされた問題作を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
173
初高杉良先生の作品でした。自分もサラリーマンなので、本当に食い入るように、その世界観に身をおきながら読み進めてしまいました。とにかくハードなサラリーマンの生活や背景を、とてもわかりやすくクリアに描き出しています。昨今「半沢直樹」が大ブレイクし、原作本が爆発的に売れましたが、そんなジャンルの原点もしくはパイオニアの作家さんなので、こういった機会にぜひ、原点(原典)にふれてみるのもいいのではないでしょうか。とてもリアリティあふれる記述で、まるで他人事とは思えないサラリーマンの生活がここに見事に書かれています。2011/02/16
jima
11
製薬会社の営業担当への左遷。そして入院。自分の入院生活を思い出しながら読んだ。作者の2作目の作品。2022/07/23
コロンボ
11
高杉良の第二作目であり、本人の病気体験も重ね描いたもの。大手製薬会社トーヨー製薬の若手社員である小田切健吾は将来を嘱望されるエリート社員。ところが、派閥抗争に巻き込まれ上司の不評を買い、中核部署の開発部から営業のプロパーへと左遷させられてしまう。物語前半はプロパーとして開業医や大学などを営業にまわる健吾が、そこで医療従事者としての自覚の無い医者や理不尽な医療現場を目の当たりにする。そして後半は激務のため、自らも健康を損ね、肝炎で病気休職を余儀なくされ、闘病生活が描かれている。昭和サラリーマンの話。2021/08/15
路地裏のオヤジ
4
図書館で題名が気になって読んだら、再読だった。2019/02/18
茶利
4
肝臓の病気は結構長期の療養が必要だし、薬屋のプロパーという仕事もたいへんなのですね。2014/07/08