内容説明
女用心棒バルサは、25年ぶりに生まれ故郷に戻ってきた。おのれの人生のすべてを捨てて自分を守り育ててくれた、養父ジグロの汚名を晴らすために。短槍に刻まれた模様を頼りに、雪の峰々の底に広がる洞窟を抜けていく彼女を出迎えたのは―。バルサの帰郷は、山国の底に潜んでいた闇を目覚めさせる。壮大なスケールで語られる魂の物語。読む者の心を深く揺さぶるシリーズ第2弾。
著者等紹介
上橋菜穂子[ウエハシナホコ]
1962(昭和37)年東京生れ。川村学園女子大学准教授。オーストラリアの先住民族アボリジニを研究中。著書は、『狐笛のかなた』(野間児童文芸賞)の他に、『月の森に、カミよ眠れ』(日本児童文学者協会新人賞)、『精霊の守り人』(野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞)、『闇の守り人』(日本児童文学者協会賞)、『夢の守り人』(路傍の石文学賞)、『神の守り人来訪編・帰還編』(小学館児童出版文化賞)などがある。2002(平成14)年巖谷小波文芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
827
著者が「ファンタジーの皮をかぶったハードボイルド大河物語だ」といった趣旨のコメント出していたが、この巻は特にハードボイルドな味わいがあった。恩人の汚名を晴らすため捨てた故郷に舞い戻る一匹狼ってお話からハードボイルドっぽい。しかもそれが異世界が舞台で女性主人公で成り立っているのが面白いし、めちゃカッコイイ!またファンタジーとしても前作と土地柄が変わると、また違う風習や価値観がしっかり描かれ世界観の厚みを感じる。2冊目でこれだから全巻読み切ったらどれだけ壮大になるのか?続けてシリーズを読んでいこう。2016/04/10
zero1
624
憎しみの向こう側へ!大人のウソと自分で判断することの意味。そして武器を使わない幸福。第二巻はバルサの故郷カンバル王国が舞台。この国は貧しいが、珍しい青光石で穀物を買っていた。養父ジグロの汚名と彼女の過去が明らかに。青光石をめぐる陰謀を15歳のカッサとともに止められるのか?まさしく【バルサという大人が、過去と向き合う物語】。児童文学だが、大人からの支持が高い作品。女を超越したバルサだが、どことなく女らしさを見せている点も見逃せない!再読でも興味深く読めた一冊。「夢の守り人」に続く。2019/05/29
抹茶モナカ
591
シリーズ2作目は、女用心棒バルサの過去が描かれました。著者の上橋先生は意図していなかったようだけれど、本作は「大人」にウケが良いみたい。確かに、ユグロやログサムの悪は怖いし、バルサの過去も熾烈なものがあった。過去と対峙する物語でもあり、養父ジグロのあれこれで切なくなる部分もあったりして、良作ですね。バルサの事がわかる本。2015/03/16
どんちん
501
「精霊は子供に人気があり、闇は大人に支持され」(著者あとがき)、さすが著者だけによく分析ができていると思う。主人公の過去と内面的な描写が中心であり、確かに子供の受けはあまりよくないだろうが、大人の私wwの受けはいいです♪前作の記憶がある中、シリーズ2作目で主人公の過去について明らかになったので、非常にすっきり感があった。この手の異世界ファンタジー?は、あまり読んだことがない中、前作(精霊)がよかったので、続編もいってみよう!となったのだが、まずは満足であるw2013/12/04
absinthe
422
前回、遠い出来事だったファンタジらしさから一転。闇のある人間のドラマになった。今回は秘められたバルサの過去が描かれる。善意の塊のように見えた深い師弟愛にも憎しみはあった。最後の戦い、壮絶なわざと感情の爆発が上手く重なり合いドラマを盛り上げる。最期はしんみりするが、希望のある終わり方。重点がドラマに置かれた作品で、作者によるとシリーズ中の異色の展開となり、大人からの支持が多いのだという。とにかく面白かった。ファンタジはあまり読まなかったが、こういう展開の演出のために使うのであれば強く支持する。2019/09/27