新潮文庫<br> 私的読食録

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新潮文庫
私的読食録

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  • サイズ 文庫判/ページ数 342p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101294780
  • NDC分類 019
  • Cコード C0195

内容説明

たとえば、物語の中で少女が食べる「甘パン」。あるいは、殺し屋が飲む一杯の「珈琲」。小説、エッセイ、日記…と、作品に登場する様々な「食」を、二人の作家はあらゆる角度から食べ、味わい、読み尽くす。その言葉が届くとき、あなたの読書体験は、眼前の本の味は、まったく新しいものに変わる。読むことで味を知る、味を知ることで読みたくなる。すべての本好きに贈る、極上の散文集。

目次

向田邦子の、ふつうのごはん革命 向田邦子『父の詫び状』
うまい、まづいは別として、うまい 内田百〓『御馳走帖』
味を語る怪物―。執念か、と思うほどの凄絶な味覚描写 開高健『最後の晩餐』
今日はゆかりご飯 青山光二「妻恋いの宿」
台所が欲しい―。生きることが生み出す矛盾 檀一雄『火宅の人』
ショウガパンとジンジャーブレッド ランダル・ジャレル『はしれ!ショウガパンうさぎ』
気品に満ちて野蛮。真剣に、豪快に、食と向き合う女たち 江國香織「ねぎを刻む」
ミルクのはいったおまんじゅう 寺田寅彦「銀座アルプス」
食べることは、こんなにも愉快なこと! 鴨居羊子『カモイクッキング』
ストロベリー・クリーム・ソーダ ソーントン・ワイルダー『わが町』〔ほか〕

著者等紹介

堀江敏幸[ホリエトシユキ]
1964(昭和39)年、岐阜県生れ。’99(平成11)年『おぱらばん』で三島由紀夫賞、2001年「熊の敷石」で芥川賞、’03年「スタンス・ドット」で川端康成文学賞、’04年同作収録の『雪沼とその周辺』で谷崎潤一郎賞、木山捷平文学賞、’06年『河岸忘日抄』、’10年『正弦曲線』で読売文学賞、’16年『その姿の消し方』で野間文芸賞、ほか受賞多数

角田光代[カクタミツヨ]
1967(昭和42)年神奈川県生れ。’90(平成2)年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。’96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、’05年『対岸の彼女』で直木賞、’07年『八日目の〓』で中央公論文芸賞、’11年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞、’12年『紙の月』で柴田錬三郎賞、’14年『私のなかの彼女』で河合隼雄物語賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

113
単行本でも読んでいるのですが、文庫になって再読です。100冊の本を紹介してさらに今回は文庫化記念の対談もあります。やはり読んでいない本がまだまだ多くあるのでこの中からでも少しづつ読もうかと思っています。2020/12/07

ユメ

39
堀江敏幸さんと角田光代さん、2人の作家が書物に登場する「食」についてとことん語り尽くす。物語の作中の「食べる」という行為は、登場人物の感情と分かちがたく結びついている。本の中における食卓の光景は、そこに居合わせる者の喜怒哀楽を生々しく浮き上がらせては、読み手に親近感を抱かせたり、あるいは断絶を感じさせたりする。角田さんの「読むことでしか食べられない」という言葉は至言だ。海外の児童文学に出てくる馴染みのない食べ物を、私も確かに読みながら「食べていた」。つくづく、読書とは豊かな体験であると感じ入る。2021/02/14

Shun

28
物語に登場する”食べ物”をテーマに、二人の作家(堀江敏幸×角田光代)の思い出や読んで味わい感じたエピソードを披露する読食エッセイ。一通り読んでみると、言及されているように食べ物についての描写は女性作家に多いようです。また日本人に関して言えば、戦前や戦後は男が食べ物に頓着するのは恥ずべきと言う風潮が小説にも表れていて面白く、しかし「〇〇を食べた」より詳細な描写がない小説でもお二人は想像を逞しくそこから味を読み取り語っていてすごいと思う。まさに「読むことでしか食べられない」ものが本の中に広げられているようだ。2021/01/13

瀧ながれ

24
食べ物に注目して本を紹介する。「小説の中の食べ物」であって「食べ物をテーマにした小説」ではないので、詳しい描写はされてなかったり、味については書かれてなかったり、いっそマズそうだったりすることもあって、食をたいせつに描く作家があれば、あんまり興味がない作家もいるのだなあと、あたりまえのことを思った。知ってる作品もタイトルすら知らない作品も当然あるのだけど、ハッと目を引いたのが「小公女」の章。「サアラが甘パンを買う場面」という文で、その状況が鮮やかに記憶によみがえった。舌ではなく、活字で味わう食の記憶だ。2021/01/06

小太郎

17
雑誌「dancyu」に連載していた食にまつわる本の紹介。古今東西の名著のなかの食に関したエッセイなんと100回分が載っています。大変短い文章なのですが二人の独特の感性が感じられて飽きません。「本を読むことでしか食べられないもの」がこんなに多岐にわたって書けるのも角田光代、堀江敏幸氏ならではと思いました。特に武田百合子「富士日記」東海林さだお「タケノコの丸かじり」あたりは凄い!2021/05/30

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