出版社内容情報
初めての結婚、百円玉一つ握りしめての家出、離婚、そして再婚。様々な人々との出会いと折々の想いを書きつづった珠玉のエッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hirouch
7
内容は、これぞ昭和という感じで、とにかくに昭和のエッセンスが濃いです。その一言一句がとても重い。命を懸けて駆け抜けた人生なのだからにじみ出る言葉が重いのは当然と言えば当然です。特に男女の明確な区分というのは、今を生きる自分にはとてつもなく窮屈に感じることもまた事実です。自由でいるよりも制約があった方が案外人間は今に満足して生きられるのではなかろうか、というような問いが負け惜しみに聞こえないのは、あの時代を生き抜いた人間の凄まじさゆえだと思いました。2025/03/12
かや
5
女性はこうあるべきみたいなことが書いてあるのに、全然押し付けがましさを感じない。本当に文章の上手い人だと思う。虚しさの感覚という章が心に残った。「考えてみれば、現代の暮らしに満足しているとはいってもこれはまことに卑小な、いじらしいしあわせであって、ここにとどまらず少しでも前進、少しでも向上、を目指す精励の気魄があれば、怠惰とは紙一重の虚しさなど決して寄せつけはしないと思うが、果たしてどんなものであろうか。」2017/01/06
バーベナ
3
戦前に17歳で結婚、満州時代を経て20年間の結婚を終了後、再婚。女流作家として様々に活躍。高知三部作が好きなのでエッセイも味わうように読んだ。身体が弱く結核や病で辛い時期も多かったそうですが、鍼灸でずいぶん良くなったそう、不思議。寂しがり屋さんだけれど、芯が強い。解説は五社英雄監督。2022/04/26
まひろん
1
なんとなく気難しい人かと思っていたけれど、そんなことはなく認識を改めるきっかけになりました。2024/04/15
ライム
1
このエッセイ集からは、著者が作家で成功する前にどんな経歴をたどったかが判る。それは驚くほどの苦難の連続。実家の商売の悩みから、戦中戦後の満州での難民と引揚げ、帰国後も農業や保母の仕事で多忙だし。何より、文章を書く習慣の始まりが、肺結核になって死を意識して、娘に何か書き残そうとした時から、というのが凄い。小説家からは、こんな強さも学びたい。2023/04/13