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新潮文庫
此処彼処

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  • サイズ 文庫判/ページ数 249p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101292397
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

今ここに確かにあるものも、無常をのがれられない。……だからこそ、見ていたいと思うのです。人生と思わぬ縁を結んだいくつもの「わたしの場所」を愛惜を込めて綴る傑作自伝エッセイ。

玉川上水の一隅にある、「すわりどころ」と名付けた古びたベンチ。自分と同じ「弘美」という名をもつ浅草の喫茶店。アメリカ西海岸のいろんな街へ四歳のわたしを運んだワーゲンビートルの後部座席……。記憶の底に置き忘れた風景や、流れる時のなかで姿を変えた土地に慈しみの光をあて、人生と思わぬ縁を結んだいくつもの「わたしの場所」をのびやかに綴る自伝的連作エッセイ。

内容説明

玉川上水の一隅にある、「すわりどころ」と名付けた古びたベンチ。自分と同じ「弘美」という名をもつ浅草の喫茶店。アメリカ西海岸のいろんな街へ四歳のわたしを運んだワーゲンビートルの後部座席…。記憶の底に置き忘れた風景や、流れる時のなかで姿を変えた土地に慈しみの光をあて、人生と思わぬ縁を結んだいくつもの「わたしの場所」をのびやかに綴る自伝的連作エッセイ。

目次

彼処
浅草
出雲
羽田
アリゾナ、ネヴァダ
デイビス
オレゴン
鶴巻
京橋
銀座〔ほか〕

著者等紹介

川上弘美[カワカミヒロミ]
1958(昭和33)年東京都生れ。’94(平成6)年「神様」で第一回パスカル短篇文学新人賞を受賞。’96年「蛇を踏む」で芥川賞、’99年『神様』でドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞、2000年『溺レる』で伊藤整文学賞、女流文学賞、’01年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞、’07年『真鶴』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

261
今回は場所を軸としたエッセイ。いつもの空とぼけたような川上節は幾分薄い。あとがきを読むと、日本経済新聞に連載されていたらしい。はは~ん、このせいだったのかと思う。川上さんもちょっと緊張していたのだろうか。タイトルだって『此処彼処』などと、いつもよりもぐっと硬めだし。ただ趣きは違うが、いいエッセイだし彼女独自のもの。例えば、家出中にたった1枚しかないパンツを盗まれて「すごく心細い。一方で、今わたしパンツはいてないんだよという、妙な自慢の心もぽっちりある」と書く。この最後の「ぽっちり」が素人には書けないのだ。2013/02/05

keroppi

62
居酒屋「BEETLE」で日本酒「かぶとむし」を飲んだとつぶやいたら、読友さんが勧めてくれた本。たしかに、フォルクスワーゲン・ビートルの話があるし、居酒屋の話も多い。色んな場所で物語る「居場所」の話。6歳の頃、ボストンの美術館でキリスト像に一目惚れした話や、新婚旅行でマダガスカルに1週間置き去りにされた話、等々。川上さんが、何かしら関わりを持った「居場所」。「かぶとむし」から、この本を連想した読友さんの感性も、川上さんぽいと思った。私にとっても、いい感じで居酒屋「BEETLE」が「居場所」になった。2019/06/27

めしいらず

52
文庫版で再読。著者が人生の折々に過ごした場所。そこで出会った人や過ごした時間の記憶をめぐるエッセイ。「大切な時が、大切だったと知るのは、いつだってその時が遠く過ぎ去ってからだ」という言葉がすーっと身に沁み入るのは、こちらもそれなりに齢を重ねたからか。その折々、素直になれなかったり、愚直だったりした自分を思い返す今、青臭さ、カッコ悪さ、情けなさに、悲しみが加わって胸を締め付ける。人生の嬉しいこと、悲しいことも引っくるめて、今、この場所にいて、生きている。ただそのことを感謝できる自分であれたら。2013/12/26

ケイ

49
川上さんの本を一作読んだだけで、間違えて二作目にエッセイを選んでしまった。感情移入ができなく少し退屈。おそらく、無難で優等生的な感じが、しをんさんとか辛酸なめ子さん、春樹さんあたりのピリリと山椒の利いたような感じがなかったからで、こういうタイプのエッセイが好きな方はおられるでしょう。お説教のお話だけは、非常にうなずいて読めました。こちらが100%正しいって信じているときでも、説教している姿は他人には見苦しい聞き苦しいものだと改めて思いました。2014/04/20

あじ

44
老巧な文筆家でありながら、老化知らずの感性を持ち続ける川上弘美。“自分に属すると決めた場所”を綴るこのエッセイは、キテレツ極まりない川上分子が此処彼処(ここかしこ)で瞬く。なんですか「怖い銀座の範囲」って。そんなところに、くっっーときちゃうんですよね、私。2018/05/29

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