内容説明
世界帝国維持のため、インテリジェンスを駆使するイギリスは、アジアの新興国家・日本をも標的にしていた。とりわけ彼らが注目したのが、天皇ヒロヒトだ。その名代として対英米戦回避を図った吉田茂、白洲次郎らの動きから、戦後の天皇退位計画、カトリック改宗説、皇室の資産隠匿疑惑まで、ロンドンに眠っていた英国機密文書をひもとき、現代史の闇を照射するノンフィクション。
目次
プロローグ 白洲次郎の涙
第1部 戦前編(二重戦略―秩父宮留学の裏で;秘密交渉―吉田茂の「示唆」;日英緊迫―天皇の懇願;反逆大使―戻らない針;豪腕首相―切り捨てられた日本)
第2部 戦後編(皇室危機―資産隠匿疑惑;天皇改宗―ローマの触手;退位計画―英米の鍔迫り合い;皇太子攻略―家庭教師派遣に固執した英国)
エピローグ 皇居を見据えるユニオン・ジャック
附章 駐日英国大使クレーギー、孤高の闘い
著者等紹介
徳本栄一郎[トクモトエイイチロウ]
1963(昭和38)年、佐賀県生れ。英国ロイター通信特派員を経て、ジャーナリストとして活躍。国際政治・経済を主なテーマに取材・執筆活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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若黎
8
再読。いろいろ昭和史に関わる本を読んでから再読したためか、今回の方が面白く感じた。2024/10/13
たわらばし
1
やっと読み終わった。他の本もとっちらかして読んでた所為で随分時間かかってもうたなぁ。 もう少し白洲次郎成分が欲しかった気がする。 問題が多角的すぎて、誰がどうあれば良かったのか。悪人は誰だったのか。正義はなんなのか。目が回る。で、関連書籍を読み漁って、また更に目を回すのだろう。答えなんか一生出ないのだろう。 最後の章で。クレーギーのお墓が放置されてる感じだったけど、文中で会ったお孫さんとか、お墓掃除しないのだろうか。お彼岸に墓掃除して墓参りするような風習、英国にはないのだろうか。2015/06/30
sasha
1
対イギリス工作だとやっぱり出て来るのは吉田茂と白洲次郎か。あまり目新しい話はないが、駐日イギリス大使クレーギーには興味を惹かれる。2011/03/01
しんこい
1
平和時も戦時も、外交や交渉は短期・長期の視野をもって色々やっているんですね。英国も米国追従では全くない。2010/10/03
しお
1
実に読みやすく夢中で読んだ。読み終わり強く興味をひかれた参考文献を、近所の図書館にあるか調べたらことごとく無かった。切ない。クレーギーの回想録を誰か翻訳して出版してください…。2009/12/02