内容説明
費の反乱を危機一髪のところで鎮圧した孔子は、少正卯一派の実力を思い知らされていた。そこに突然、妖女・子蓉が訪れ、孔子との面会を申し込む。その子蓉の媚術により瀕死となった美少女・〓は、顔氏の里・尼丘に運ばれ、南方を遍歴して医術をきわめた医〓の診察を受ける。医〓は、医の力によって〓を救えると断言するが…。名医の登場で新たな生彩を放つ、一触即発の第7巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Norico
22
尼丘で、子蓉の蠱術と、南方から来た名医の呪術対決。顔回がちゃんと話の筋に絡んできて嬉しいけど、まだ「活躍」とまではいえないなぁ。次巻に期待。公冶長はなんだかとばっちりばかりでかわいそう…2017/05/08
もえたく
14
政治家孔子と異能者として支える愛弟子顔回を描く異色の中国歴史小説の第7巻。孔子と妖女子蓉が初対面し、凄まじい無言の闘いを繰り広げる。重篤の妤の治療のために南方から名医が現れ、驚くほどの医術を発揮するが、月の力を借りた蠱術はその上をいき、再び顔回らは窮地に。医術と蠱術の息もつかせない総力戦に一気読み。作中に出て来る孔子の憧れた巫祝能力にも秀でた周建国の功臣『周公旦』も読みたくなりました。2020/05/13
きいち
9
醫の字に元々あった「矢」と「酒」、同じく祭祀を担う二つのうち、なるほど、今の医の字には「矢」のほうが残ったのか。酒が使えるかどうかは非公式ということやな。願氏の里、尼丘が舞台のこの巻の主役、医鶃はもちろん矢も酒も両刀使い、子蓉との闘いは酔わせてくれる。/忘れかけていたけど、顔回の「学ぶ人」ぶりが久しぶりに触れられ印象に残る。/解説・月本の、こことは違う世界を味あわせてくれてこそ小説、という一言に、大きくうなずく。そのためには作り手に圧倒的な教養が必要、というところも。2013/03/11
きさらぎ
6
古代における医術について、中々に突っ込んだ説明や描写が見られるのが嬉しい。渡りの医者医鶃の、常に人の生き死にの現場にいる事の厳しさ。作者は実力と多少の外連味がないと生き残れない、あくの強い流浪の職業人達を魅力的に書くのがうまいなあ。犬に引き続き、生き物好きには辛い巻でもあった。鴟梟も公冶長も可哀想過ぎる。ヒステリックな五六は見ててしんどい。容赦ない、とも思う。鬼神に憑かれた妤を前に「他に憑く鬼神はなかったか」と嘆く顔回にはちょっと笑ってしまう。逆上するに決まってるでしょうが(笑)「助けて」の一言が切ない。2018/09/12
ゆうげん
6
媚蠱にかかったヨを救うため古代の医療という新たな展開に突入する。尼丘に呼ばれた南方の名医、医ゲイが格好良かった。2010/12/21