内容説明
時は槐暦元年、腹上死した先帝の後を継いで素乾国の帝王となった槐宗の後宮に田舎娘の銀河が入宮することにあいなった。物おじしないこの銀河、女大学での奇抜な講義を修めるや、みごと正妃の座を射止めた。ところが折り悪しく、反乱軍の蜂起が勃発し、銀河は後宮軍隊を組織して反乱軍に立ち向かうはめに…。さて、銀河の運命やいかに。第一回ファンタジーノベル大賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
178
初ページの一行目が「それは腹上死であった、・・・」で度肝を抜かれたと思ったら、常に陰と陽のように「対」が人間関係のみならず登場人物自身の個性にまでにさえ散りばめられていてホントに驚愕させられました。巧い、ホントに巧い!この作家さんからは目が離せないと思いました。2022/09/17
遥かなる想い
154
中国らしき国に題材をとった後宮の物語。銀河という名の正妃となる女性の人物像はよいが、私はどうもファンタジー小説が苦手のようで、うまく入り込めなかった。2010/11/07
KAZOO
141
酒見さんの本を読みなおしてみようかと思って、再度手に取りました。やはり面白いとは思いますが、中国の歴史を期待しているとあまり合わないかもしれません。私も最初に読んだときはいわゆる後宮に関するもので中国史をこのような観点から見直すのかと思いましたが、まるっきり物語として読んだらいいのかと思います。「陋巷に在り」も読みなおしてみようと思います。2016/03/26
エドワード
94
夫れ小説の本質は法螺話なり。素乾帝国は17世紀の王朝なれども、律令儀軌と云い、宦官、胡人、西胡人、陰陽術、モルギ汗、幻影達の乱と云い、漢も唐も宋も明も混じりたる渾沌なるが中華帝国たる所以なり。後宮もまた永遠の虚構なり。覇権を狙う宦官によりて帝都北師に上りし少女銀河。魂の無垢なること日本国漫画の主人公のごとし。魅力溢るる同輩、世沙明、江葉、玉遥樹と共に後宮哲学を会得し、未だ道女ならざるも銀正妃となれり。史記、三国志よりラストエンペラーまで、偉大なる王朝絵巻こそかくあらね。彩雲国物語もまた一変奏曲なりしか。2014/05/13
財布にジャック
91
読み始めてから序盤は、ちょっとドキドキしました。だって、心配性な私はエロい方向へお話が進んだらと心配になっちゃったんです。酒見さんはこれがデビュー作で25歳だったと思うと凄い快挙だと思います。全てが史実なのかと思わされ騙されてしまうほど自然なんです。三国志や蒼穹の昴やテンペストやラストエンペラーなどが好きな方には堪らない作品だと思います。そしてシンデレラのような主人公の銀河ちゃんの真っ直ぐさがとっても可愛いです。2012/02/06