内容説明
古内繁は孤独な中年サラリーマン。妻に先立たれ、会社ではとうに出世コースから外れた存在だ。そんな繁が、雑誌の連載小説「おせっかい」に登場する女性刑事に熱い思いを抱き、それが高じて奇妙な浮遊感とともに小説のなかに出入りするようになる。この闖入者にショックを受ける作家の橘香織。迷走し始める彼女の連続殺人事件小説。現実と仮想世界が交差する切ない不思議感覚ミステリ。
著者等紹介
松尾由美[マツオユミ]
1960(昭和35)年、金沢市生まれ。お茶の水女子大学文教育学部外国文学科卒。OLを経て作家になる。’89(平成元)年に『異次元カフェテラス』を刊行。’91年「バルーン・タウンの殺人」でハヤカワSFコンテスト入選。現実と仮想世界が交差したり、日常生活に不思議な出来事が起こる作品で知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジンベエ親分
34
現在連載中(つまり執筆中でもある)の小説の中に、生真面目な中年男(繁)が侵入しまう話。その小説内小説も同タイトルの連続殺人を扱ったミステリーなのだが、繁が侵入する条件はそれなりの法則があり、また繁が見る小説内世界の描写、繁に侵入された作家(橘香織)の視点があり得ない設定ながらリアリティを感じて引き込まれる。小説内小説の方も"犯人"は作中の描写で推理できる真っ当なミステリーなのだが、繁の侵入をきっかけに編集者や繁を慕う元部下の行動によってあらぬ方向に…という話で、作者の小説に対する矜持も伺えて面白かった。2018/01/08
カニック
6
現実の世界から小説の中に入っていくファンタジックなミステリー。構成は面白いのだが着地点がイマイチ。2018/12/05
ひさか
4
2000年7月幻冬舎刊。書下ろし。2006年2月新潮文庫化。長編。現実と小説の世界が、混在する不思議なミステリー。思考実験のような面白さがあります。2018/08/18
takaC
4
ヘンゼルはあなただという台詞の意味がわからなかった…2009/07/08
タケミチ
3
思ってもみないところに着地したもんでビックリしました。最近おせっかい焼いてないなー2011/04/02
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