内容説明
明治11年12月24日夕刻、熊野灘の沖に現われた1頭の巨大な鯨に、300人もの男たちが銛を手に、小舟を操って立ち向かっていった。これが“背美流れ”と云われた大遭難の発端であり、慶長以来400年もつづいた古式捕鯨の組織“鯨方”壊滅の始まりでもあった。文明開化という時代のさ中で滅びていった人びとの絶叫と、燦爛たる愛とをドラマチックに描いた感動の長編。第79回直木賞受賞作。
著者等紹介
津本陽[ツモトヨウ]
1929(昭和4)年、和歌山市生れ。’78年、文明開化の時代の波涛のなかで滅びていく紀州の古式捕鯨を描いた『深重の海』で直木賞を受賞。『明治撃剣会』で剣豪小説に新境地を開く。近年は、『下天は夢か』など戦国を舞台にした長編歴史小説を意欲的に執筆し、’95(平成7)年『夢のまた夢』で吉川英治文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
49
          
            第79回直木賞受賞作。古式捕鯨の壊滅の始まりを目の前で見ているようでした。文明開化という時代の中で散りゆく人々の絶叫と絢爛な愛が描かれています。鯨は命をかけているのと同時に命そのものだったのでしょう。2020/11/30
          
        たぬ
10
          
            ☆2 捕鯨か。あの捕鯨ソングが頭の中を流れてくるぜ。そんで捕鯨と言ったらやはり和歌山なのだな。鯨はでっかいし頭がいいからそれこそ漁は命がけだ。しかし訛りがきつすぎて内容がちっとも入ってこない。ちょいちょい現代語訳の括弧書きがあっても一字一字きっちり読んでいかないとすぐにわからなくなってしまう。人名が〇太夫だらけなのも混乱の一因でして…。直木賞受賞作ということで手に取ったけど半分まで読んだところでリタイアとなりました。2024/09/28
          
        キムチ
8
          
            紀州の素晴らしい作家、津本氏の直木賞受賞作。白浜に向かう国道を走ると広がる紺碧の海。いったん牙をむくとそれが悪魔と化す。そしてそこに住む神の使いの化身のような巨大な鯨。世界から叩かれている「捕鯨業」の世界を描いた傑作だと思う。明治時代、ほかに生業とてない沿岸の人々の暮らし、ロマン、それを取り巻く日本各地の時代模様。装丁の版画の絵が汗の迸りと生命のほむらをよくあらわしている。
          
        おさむ
6
          
            時代と共に衰退していく捕鯨の漁師たちの苦悩の物語。翻訳不能の和歌山の方言が、より現実味を出しています。よみどころは、迫力ある漁の場面。『死』というテーマが全編を覆っており、読後感は重かった。題名のじんじゅうのうみ、さながらです。直木賞受賞作。2013/09/23
          
        ふたし
5
          
            この小説をシーシェパードの人たちに読ませたらなんと言うだろうか?鯨が血飛沫を上げる場面をことさらに指摘して、だから捕鯨は残酷なのだと言うだろうか。それとも、捕鯨は鯨も人間も不幸にすると言うだろうか。
          
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- 洋書
 
 - Cassidy
 


              
              
              
              

