新潮文庫
介護現場は、なぜ辛いのか―特養老人ホームの終わらない日常

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  • サイズ 文庫判/ページ数 329p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101276113
  • NDC分類 369.26
  • Cコード C0195

出版社内容情報

介護職員は、人様のお役に立つ仕事――? ヘルパー2級を取得し、時給850円で働いた小説家が目の当たりにした、特養の現実。

かけた優しい言葉とは裏腹に、心の中では毒づいている。「我が儘言うなよ……」苛立つ職員。荒くなる作業。介護者、入居者共に我慢の24時間――。人は介護を受けるために生きているのではなく、生きるために介護を受けているはずなのに。齢50を過ぎてヘルパー2級を取得し、時給850円で働いた小説家が目の当たりにした、終(つい)の棲家の現実とは。老親を持つ世代必読のノンフィクション。

内容説明

かけた優しい言葉とは裏腹に、心の中では毒づいている。「我が侭言うなよ…」苛立つ職員。荒くなる作業。介護者、入居者共に我慢の24時間。人は介護を受けるために生きているのではなく、生きるために介護を受けているはずなのに―。齢50を過ぎてヘルパー2級を取得し、時給850円で働く作家が目の当たりにした、終の棲家の現実とは。老親を持つ世代必読のノンフィクション。

目次

序章 扉が開いて
第1章 「混沌」への招待
第2章 強ストレス職場の日々
第3章 「高齢」という現実
第4章 真夏の夜の夢
第5章 モラルハザードのはざまで
第6章 出られない人たち
終章 せめてもの未来を

著者等紹介

本岡類[モトオカルイ]
1951(昭和26)年生れ。早稲田大学卒業後、出版社勤務。’81年『歪んだ駒跡』でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、作家に。最近では、日本が初めて迎える超高齢社会のルポルタージュにも取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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hatayan

53
小説家の著者が特養老人ホームに5ヶ月間従業員として潜入したルポ。 飛び散る糞尿にまみれ、上司に叱責され認知症の老人を延々とお世話しても時給は850円。ストレスに満ち、愛もやりがいもない介護の現場は虐待やモラルハザードの温床。人間として入居者に向き合おうとする従業員は疲弊して現場を去り、作業のようにオムツ交換や入浴介助をこなせる人が生き残ります。 入れ替わりが激しく慢性的に人手不足の介護業界は、行き着く場のない人の受け皿に。過剰な負担を低収入で強いる現状が将来の見通しを暗いものにしていると明らかにします。2020/01/08

糜竺(びじく)

51
きわめて勉強になる、考えさせる一冊でした。日本は高齢化が進んでいき、介護施設の必要性が増していきます。実際の所、その介護施設の現場の実態はどんなものなのか、リアルに克明に記されていました。著者自身が、5ヶ月ほど、時給850円の非常勤職員として働き、下っ端からの目線で分かる介護施設の内容だったので、本当に現場は人手不足でイッパイイッパイで、大変さが非常に伝わってきました。実際に働いてみないと分からない、その細部の内容まで書かれていたので驚かされる事が多々ありました。人間が避けて通れない事だけに壮絶でした。2014/12/21

リキヨシオ

34
著者自ら、5か月間特別養護老人ホームで非常勤職員として働いた内情を描いたノンフィクション。年間離職率は25%、長時間労働、低賃金…慢性的な人員不足が深刻な業界。著者が勤務したのは5か月間という短期間だけど、介護施設の仕事の過酷さ、慢性的な人員不足、何故介護の仕事が長続きしないのか…原因が凝縮されていた。ベテラン職員が効率的にこなさないとこなせないハードスケジュール、マニュアルのない現場、人員不足で職員教育ができない…職員と入居者の環境悪化の悪循環…諦めの漂う職場…国はこの現実を把握できているのか疑問です2015/05/27

misako

20
介護病棟で看護師をしています。少し立場は違うけど「あるある」と思いながら読んだ所が多かったです。重労働なのに低賃金!ここを何とかしないと、この先の超高齢化社会は乗り切れません。政治家の皆さんにこの本を読んで欲しいです。2013/08/09

遊々亭おさる

17
小説家である著者が五ヶ月間の特別養護老人ホームでの勤務体験を通して介護業界の問題点と、その対応策を提示した本。僕も介護業界のはしっこで働いているが、ハコモノで介護職経験のある人にはあるあるネタの連発。今現在も現場で汗を流している人にとっては、良いガス抜きとしての読書になるとともに、介護職の常識は世間の非常識と言われる、その硬直性に対して自分の仕事を見直すきっかけとなる読書が出来ると思う。介護の仕事は辛く厳しいことばかりではなく、そこには働く側の夢や希望を見いだせる職場でもあるはず。続く→2013/11/24

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