出版社内容情報
暗がりのなかで蛍火のように点滅する詩もある。今の夥【おびただ】しい言葉の氾濫に対して、小さくてもいいから詩の杭を打ちたい――。誰よりも巧みに言葉を操りながら、疑いも抱きつづけた谷川俊太郎が、最晩年にありったけの願いを込めて編んだ十四行詩・88篇。誕生の不思議、いま生きて触れている感覚、世界の恐ろしさと愛おしさ、そして死の向こう側。遺作詩集にして、現代詩の到達点。(解説・俵万智)
【目次】
内容説明
暗がりのなかで蛍火のように点滅する詩もある。今の夥しい言葉の氾濫に対して、小さくてもいいから詩の杭を打ちたい―。誰よりも巧みに言葉を操りながら同時に疑いつづけた谷川俊太郎が、最晩年に渾身の願いを込めて編んだ十四行詩・88篇。誕生の不思議、いま生きて触れている感覚、世界の恐ろしさと愛おしさ、そして死の向こう側。生前最後の詩集にして、現代詩の到達点。
目次
椅子を引き
気配が
老いて一日は
じっと
明日より今日が
世間の罅
夜 座っている
目が覚める
此処がいい
微かな生きものの
意味ではなく
海を見下ろす崖
ミエテキコエテ
赤児の笑みが
オナカそれとも
自然に生まれ
言葉にならないそれ
遠く離れた
日々の現実だけが
刻々の今を〔ほか〕
著者等紹介
谷川俊太郎[タニカワシュンタロウ]
1931‐2024。東京生れ。1950(昭和25)年「文學界」に「ネロ他五篇」を発表して注目を集め、’52年に第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行。以降、数千の詩を創作、海外でも評価が高まる。多数の詩集、エッセイ集、絵本、童話、翻訳書があり、脚本、作詞、写真集、ビデオなども手がける。’83年『日々の地図』で読売文学賞、’93(平成5)年『世間知ラズ』で萩原朔太郎賞、2010年『トロムソコラージュ』で鮎川信夫賞、’16年『詩に就いて』で三好達治賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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