内容説明
賢司は入社二年目の“リーマン”。仕事は順調、彼女もいるのに、なんだか冴えない毎日。そんな時、高校の同級生・凌一がインディーズブランドを旗揚げした。気の合う仲間と作りたいものを作る―そんないい加減なことでいいのかよ!?そのくせ、足は彼らの仕事場に向かい、曖昧な会社生活をリセット、本格的に手伝うようになるのだが…。ミシンのリズムで刻む8ビートの三島由紀夫賞受賞作。
著者等紹介
鈴木清剛[スズキセイゴウ]
1970(昭和45)年神奈川県生れ。文化服装学院卒業。’97(平成9)年『ラジオデイズ』で文芸賞、’99年『ロックンロールミシン』で三島由紀夫賞を受賞
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感想・レビュー
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しんごろ
100
タイトルと装丁に惹かれ、思いこみでロックンロール系の音楽の物語だと思ったら、全く違いました(^^;)理想、夢、葛藤をふまえた若者の青春物の話!読んでて、むず痒くなる甘酸っぱい青春物ではなく、現実をうけとめながら、しっかりと1本芯の入った物語でした。特に盛り上がるシーンはないんですが、物足りなさを感じなかったのは、きっと無意識に自分の若い頃と照らしあわせて読んでしまうからですかね。なかなかの面白さです(^-^)映画化もされてたみたい(^^)2017/01/06
coco夏ko10角
20
第12回三島由紀夫賞受賞作品。熱とか勢いとかよかった。2016/03/26
かみしの
8
「なあ、凌一たちって、なんでいきなり服なんかつくりはじめたんだよ?」「そんなの決まってんじゃん、ファッションで世界征服するためだよ」90年代といえば渋谷系の一方でイカ天バンドブーム。青春といえばバンド、これはある種の記号だけれど、それゆえにインディーズブランドが主題、というのが新鮮だった。創作はすべて、こうなのだ。他者とは折り合わないのだ。裁断する場面は、胸にぐっと来た。けれど、また再開するところに、希望がある。ミシン・ソングは鳴りやまないのだ。読みながらずっと、映像が頭の中に浮かんでいた。2018/03/17
kaorin
6
自分の周りにもあったような空気感、時代、憧れ、もがき、挫折…。昔を思い出しこそばゆくなる。2016/09/13
とみぃ
6
私探し、というのか、組織嫌悪、というのか、たえまなくまわり続ける会社、とはつまり、自分がいてもいなくても大して違いはない、とすれば自分とは、みたいな、そんな思いを抱いたとき、放埓で自分勝手で衝動的で不道徳で不謹慎で、でも自分を謳歌してるらしい、そんな世界がなつかしくなる、そうしてつかの間の、逃避行。そこは傷と痛みでできた世界。創造が崩壊の後にくるのであれば、崩壊こそを、さら地にすることを目的としてしまうような、そんな倒錯した欲望に突き動かされる世界、だった。心地よい刺激の後、かれは日常へと帰還するだろう。2016/06/01