出版社内容情報
謎の絵師を、さらなる謎で包んでしまえ――。前代未聞の密談から、「写楽」売出しの大仕掛けは始まった……。一ツ、正体は決して知られてはならない。二ツ、噂を流し影武者を作れ。三ツ、御公儀に一泡吹かせるべし。江戸っ子の意地を賭け、蔦屋重三郎が動く。かくして「写楽」はデビューした。だが感づいた者がいた。危機一髪の尾行、想定外の事態、「写楽」はどうなる……。痛快時代小説。
内容説明
謎の絵師を、さらなる謎で包んでしまえ―。前代未聞の密談から、「写楽」売出しの大仕掛けは始まった…。一つ、正体は決して知られてはならない。二つ、噂を流し影武者を作れ。三つ、御公儀に一泡吹かせるべし。江戸っ子の意地をかけ、蔦屋重三郎が動く。かくして「写楽」はデビューした。だが感づいた者がいた。危機一髪の尾行、想定外の事態。どうなる写楽。
著者等紹介
野口卓[ノグチタク]
1944(昭和19)年、徳島県生れ。さまざまな職業を経て、編集者・ライターとなる。その傍ら、ラジオドラマの脚本や戯曲を執筆。’93(平成5)年、一人芝居「風の民」で第3回菊池寛ドラマ賞を受賞。2011年、『軍鶏侍』で小説家としてデビューし、’12年、同作で歴史時代作家クラブ賞新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みっちゃん
132
来年の大河の予習として最近読んだ蔦十と写楽絡みの作品では断トツの面白さ。何たって写楽の正体がかなりの大物。wikiを見たら実在の人物だった。これは絶対にその正体を明かす訳にはいかない。あの鮮烈なデビュー、高価な黒雲母刷りの28枚の大首絵一挙売り出し、もわかる。何より民を締め付けるだけの公儀をぎゃふんと言わせるぜ!という「チーム写楽」の気概、連帯感が超気持ち良い。何故短期間で煙のように消えたのか、も頷ける。さらには現代では定説になっている「能役者斎藤十郎兵衛」すらも蔦十の企みだなんて!痛快なことこの上なし。2024/05/19
mike
70
これまたとんでもない写楽説。そんなバカな…と思ったが秘密だらけの絵師。ひょっとするとこういう事もあったかも🤔と思わせる面白さがあった。元の題名は「大名絵師写楽」だったそうだがこれは蔦重の話。彼がお上から財産を半分没収される処分を受けてかなり苦しかった時、起死回生をかけて写楽を作り上げ売り出す。しかしかなり危ない橋を脂汗を滲ませながら渡る様はかなりスリリング。どんだけ反骨、不屈の精神持ってるんだ、蔦重さんよ😱2024/05/30
たま
55
新聞で紹介の蔦重本。初読み作家さんで期待せず(失礼!)読み始めたが面白かった。写楽は身分の高い武士との設定で、身分を明かせない事情がある。蔦重は町奉行所同心の目をくぐり、誰が写楽か判らぬよう手立てを講じて謎の絵師東洲斎写楽をプロデュースする。500頁近い長編でくどく感じるところもあるが、蔦重はじめ武士、同心、歌舞伎興行の座元ら個性が分かりやすく、後味も良かった。たくさんの絵師、戯作者、歌舞伎の演題が登場し、寛政の文化事情はなかなか複雑で手強そうだ。2023/06/23
真理そら
33
『大名絵師写楽』の文庫化。2021/03/28
アイシャ
27
偶然に見た『津田の盆踊り』の踊り狂う男の絵。その鮮やかな描写力と躍動感に圧倒された蔦屋重三郎。それが東洲斎写楽の誕生につながる。ほんの10か月ほどの活動でその名を残し謎の絵師として今も多くの人を魅了する写楽。その謎を一つの仮説として解き明かす。驚くのは重三郎のアートプロデューサーとしての手腕と同時に商人としての野心。特に臨時廻り同心角倉との柔らかくも鋭い言葉の応酬は興味深い。黄表紙の特長、思わせぶりに肩透かし、常に相手の思いの少し先を行って飽きさせず、時にハラハラさせるとはまさに韓ドラの特長ではないか2024/06/14