内容説明
体調不良を押して、早世した知人の葬式に出かけた男が出会った案内人の正体は―「案内人」。一人で歩く夜道、背後から聞えた息遣いのような音の正体は―「靴が鳴る」。さりげない日常の描写から、思わず背中をゾクリとさせ、あるいは口元をニヤリと歪ませる思いもかけない結末が導かれる18話。すべて「こんな話を聞いた」で始まる、アトーダ・マジック全開の短編集。
著者等紹介
阿刀田高[アトウダタカシ]
1935(昭和10)年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、’78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。’79年『来訪者』で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞、’95(平成7)年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gonta19
60
2007/8/31ジュンク堂住吉シーア店にて購入。 2014/12/16〜12/19 「こんな話を聞いた」で始まる18の短編。短いエピソードがあって、そこから広がるストーリー、という構成。さすが、短編の名手、という作品ばかり。個人的には、「フランス窓」、「青いドレス」、「骨細工」あたりが良かった。2014/12/19
takaC
51
「死の一向聴・聴牌」説は説得力あるな。とりあえず自分は六向聴ぐらいだと思っておきたい。2013/11/12
大阪魂
35
久々の阿刀田さん、古典解説本ちごて現代が舞台の18の短編集!どのお話も「こんな話を聞いた」ではじまる数行の昔話みたいなのがあってその後にその話に絡んだ20ページくらいの短編がついてくる構成!どれもブラックユーモアみたいな怪談みたいな不思議話みたいな…ほっこりできるんは少ないけど昔結婚するときの選択のお話「フランス窓」とか与那国島の愛の伝説のお話「夢ひとつ」はええ感じやった!変な奴の家でコレクションみせられる「骨細工」は落ちがわかってまうけどこんなんは好き!あとはやや嫌オチ話…阿刀田さんは明るいのがええなー2025/06/30
KEI
31
「こんな話を聞いた」で始まり、半ページ程の逸話と、それに続く短編18編。日常の中のふとした違和感、心の底に沈んでいた記憶が蘇ったり、ホラーがかった出来事が描かれ、最後に見事にオチがある。逸話からどの様なストーリーになるのかと想像したり楽しんだ。飾ってあるボーンアートを褒めた事で、次々と自作を披露する男、最後の一言、家内にお会いになりますか?が効いていた「骨細工」。野良猫を集めて餌をやっていた「猫婆さん」は場面を想像すると怖い。「フランス窓」は他の作品には無い温かさがあり読みやすかった。2016/10/07
meow3
17
昔話のような短い寓話とそれをテーマにした短編集。どの話もちょっと不思議だったり、不気味だったりほの暗い雰囲気のものが多い。でも文章がきれいなので都市伝説風味の奇譚集と言った感じ。鴨狩りの話の落ちがよかった。猫婆さんは実話そうなところが怖い。2018/08/23