内容説明
「一度会いに来るよ」―愛しい夫の言葉を頼りに、夫の故郷を訪ねた妻が満開の桜の中に見たものは…。美しく妖しい味わいの表題作ほか、白い蜘蛛とも、白い蟹とも、白い手首とも見えるものが、月光の下を這いまわる不気味な感触の「白い蟹」など、新鮮なアイデアと巧妙な仕掛けが生きる12編。きっと泣ける純愛ホラー。達人アトーダの名人芸をたっぷりお楽しみください。
著者等紹介
阿刀田高[アトウダタカシ]
1935(昭和10)年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、’78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。’79年『来訪者』で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞、’95(平成7)年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
75
純愛ホラーというに相応しい短編集だと思いました。巧妙な仕掛けと黒さが生き生きと鮮やかに見えます。ブラックユーモアとは異なる怖さが引き立っているように感じました。2018/04/11
takaC
56
それが持ち味だから当たり前なのだろうけどいずれの話もジワリと黒い。2016/04/29
かんらんしゃ🎡
48
最初の2話には肝を冷やした。楳図かずおの絵を頭に描いてしまう。悪い夢を見そうなのら、ぐわし。他の話は安心して読めたのら。2018/05/23
KAZOO
30
12編の短編が収められています。阿刀田さんの一つの得意分野の作品集です。男と女が絡んでのものでしかも少し恐怖感を含んでいる感じがしています。後味が悪いという方もいらっしゃるとは思いますが私はそれなりに楽しめました。2014/11/26
5〇5
12
「すごい!」のひと言に尽きるね。やっぱり短編の名手だけあって、期待以上に楽しめた一冊だったよ。ホラーっぽい話もあれば、不思議で奇妙な味わいの作品もあって、全体的に「奇想」って言葉がぴったりくる感じ。アイデアが多彩でどれも斬新だし、ストーリー展開のうまさにも引き込まれた。読みごたえ抜群だな。(K)2025/01/15