感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホークス
38
この文庫版シリーズは何冊か読んでいて、今回「春」を見つけた。見開きで絵と短文。週刊新潮3〜5月の表紙から95枚。古い作品は1950年代で、素朴かつ幻想的な作風で一貫している。多くは子供が主人公。中でもちょっと怖い絵が好きだ。夕闇の林や真っ黒な沼、寂しい雨の道が幼く不安な心を思い出させる。きっとこの子たちは谷内氏自身なのだろう。空の描写には多彩な工夫が凝らされ鮮やかだ。その下に穏やかな表情のお地蔵様、遠景には漁船やゆるい山並。ふわりと入り込めそうだ。樹木が子供たちを見守る様に描かれ、暖かな雰囲気を作っている2020/01/18
犬こ
22
本をコレクションするほど大好きな画家・詩人である谷内六郎。彼の作品は夜に見て、感じるのが、とても心地よく、優しく、懐かしく、せつなく、物悲しく、時に怖く。独特に織りなされるイリュージョンとシュールさは、谷内六郎以外に誰も表現できない昭和の宝。2016/05/09
あろは祭り
19
かつて『週刊新潮』の表紙を飾った、春の画集。表紙に添えられた文章も谷内さん。昭和日本の原風景に ほのぼのして癒されるね。彼女は寝る前にページを開き、こころを休ませるという。ぼくも ちょっぴりまねしてるよ。今度は、夏を貸してもらおう。2016/06/30
新田新一
16
一つ一つの絵に生かされている童話的な発想が好きです。例えば、バイオリンの形をした雲を突き抜けていく飛行機雲の絵があります(99ページ)。その雲がバイオリンを弾く弦に見立てられています。幻想的で懐かしさを感じる絵は、私の好きな画家シャガールに似ていると思いました。谷内六郎の絵が表現しているのは、日本人の心の故郷なのかもしれません。小さな駅の改札口にちょこんととまった小鳥が、くちばしに桜の花びらを咥えている絵もあります(139ページ)。その花びらが切符です。今頃の季節にぴったりのこの絵が一番印象に残りました。2024/04/21
chiru
16
父が週刊新潮をずっと購読してて、谷内さんが亡くなって違う表紙になった途端、購読中止に。表紙が目当てもあったけど、”表紙の言葉”も楽しみにしていたそう。父から譲り受けて、わたしも時々読んで、郷愁に浸ります。★52017/10/30
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- 和書
- わたしお姫さまになれたよ