内容説明
河野水軍の血を享けた偉丈夫、一遍智真は、愛と憎しみの底知れぬ苦悩の果てに、わが身を捨て、捨てる心をさえ捨てて、諸国漂泊へと旅立った…。国宝絵巻『一遍聖絵』に描かれた足跡を各地にたどり、肌身で感得する遊行の心。信・不信をえらばず浄・不浄をきらわず、ひたすら念仏流布の旅に生きて死んだ男の、足音に耳をすまし、生身の人間像に肉薄する。芸術選奨文部大臣賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
56
四十年以上昔、学生時代に単行本で。当時はちょっとした本は箱入り。今も後生大事に。といいつつ再読してない。文庫入りしても久しい。いま読んでる山口昌夫の本で、甲斐荘楠音を巡る記述で、栗田勇の(別の)本が参照されてた。栗田勇の名が懐かしくて蔵書に触れてみた。
出世八五郎
4
読んだが読んでいながら内容が全く頭に入って来ず、読了完了寸前に断念した。踊念仏の人だと思う。空也とかも出てきたと思う。身を捨て心も捨てすべて捨てるとかいう主張だった記憶あり。売ったと思う。一時期、宗教関連の本に興味があって読んでいたけど、本は選ばなくてはと思う。
みうら
2
絵巻を細部に解説しながら、一遍の出家前から死までを追っている。過酷な旅に駆り立てるだけの宗教的信念と、旅を続ける為の徹底したリアリズムを持った人物。何となく遊行上人というと、身軽でおおらかなイメージがあったけど、全く変わった。時々小説風に一遍の心情が描かれているけど、作者の考察として、すんなり入って来る。2012/10/04
海原 歩
1
一遍上人聖絵に沿って、一遍の思索をたどる。親鸞の念仏は、信が不可欠であったが、一遍は信不信を問わず、名号が人を救うという。親鸞を突き抜けた念仏の徹底がある。2011/09/13
阿部
0
硬派な研究追想本。 足早に歩み去っていく人々の影という著者の視点が面白い。日本の旅の思想に触れたくて手に取ったが、生と死、輪廻や再生、飾り立てず持たぬこと、あたりになるのかな。 もう一歩、普遍に踏み込んで欲しかった感もある。2020/07/17
-
- 電子書籍
- 機動戦士Zガンダム 第四部 ザビ家再臨…