内容説明
最後のレコーディングに臨んだ、売れないロックバンド。「いい曲なんだよ。届けよ、誰かに」テープに記録された言葉は、未来に届いて世界を救う。時空をまたいでリンクした出来事が、胸のすくエンディングへと一閃に向かう瞠目の表題作ほか、伊坂ワールドの人気者・黒澤が大活躍の「サクリファイス」「ポテチ」など、変幻自在の筆致で繰り出される中篇四連打。爽快感溢れる作品集。
著者等紹介
伊坂幸太郎[イサカコウタロウ]
1971(昭和46)年千葉県生れ。’95(平成7)年東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。’04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞受賞。’08年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞と山本周五郎賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
888
4つの中篇小説で構成されている。発表誌は小説新潮(2篇)と別冊東北学(最後の「ポテチ」は書下ろし)。発表誌がやや硬めのせいか、今回は全体として純文学的なものへの志向が顕著だ。とりわけ巻頭の「動物園のエンジン」などは、タイトルといい、手法といい村上春樹ばりの小説世界に接近している。そのためにエンターテインメント性が犠牲になったこともまた否めない。発想の自由さに自ら足枷をかけているかのようだ。そして、やや開き直ったのが最後の「ポテチ」か。いっそ全篇をフィッシュストーリー(ほら話)に徹すればよかったのだろう。2017/10/12
サム・ミイラ
743
軽妙さは変わらず。四つの物語はシンプルながらどれも深いのがさすがです。すこし日常をアウトしたストーリーと粋な会話が伊坂節の真骨頂。知識の豊富さにはいつも驚かされます。他の作品からのリンクも特徴で、中でもポテチは重力ピエロからの流れがいいですね。表題作は昔バンドをやっていてプロになりそこねた私としては胸に迫るものがありました。次はラッシュライフにいきますか!2014/06/08
ehirano1
606
もうね、流石の一言に尽きます。上手い、兎に角上手い。4編どれもが圧巻で、読後は伊坂作品ではもはやお約束となった余韻を楽しみました。因みに、解説を読んで、「はっ?そこはそういうことだったの・・・」という箇所があった後、再び余韻に突入してしまいました・・・。2021/05/13
勇波
458
新潮文庫を刊行順に読んでるので今作の登場人物にいちいちアッとなってしまう。。全話ほんとに良かった。最後の大西さんと今村くんに何故だか癒されます★2014/10/13
kishikan
451
伊坂の小説は、いつもあたりはずれがなく、読ませる。今回の作品は、最後のレコーディングに挑む売れないロックバンドの歌をめぐって、時と場所が異なる場面で、人々の心に届き、いくつもの人生を救うという話がメインで、そのほかにも「動物園のエンジン」など心に響く中篇3篇。タイトルにもなった「フィッシュストーリー」って確か、映画にもなったっような・・・。映画(DVD)も見てみたいな。2010/03/25