新潮文庫<br> マッハの恐怖

新潮文庫
マッハの恐怖

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  • サイズ 文庫判/ページ数 495p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101249056
  • NDC分類 916

内容説明

昭和41年春、日本の空は異常だった。2月4日に全日空ボーイング727型機が羽田沖に墜落し、3月4日にはカナダ太平洋航空ダグラスDC8型機が羽田空港で着陸に失敗、炎上した。翌5日にはBOACボーイング707型機が富士山麓に墜落し、わずか1カ月の間に300人を超える人命が失われた…。巨大技術文明の中での連続ジェット機事故の原因を追究した、柳田ノンフィクションの原点。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

214
第3回(1972年)大宅壮一ノンフィクション賞。 昭和41年春の連続航空事故を扱った作品である。大型ジェット幕開けの時代、ボーイング727機はなぜ墜落したのか?機体の問題か パイロットの操作ミスか? 現代にも繋がる事故原因の究明課程を そして 事件に関わった人々を著者は克明に描く。 山名教授による「機体欠陥説」に対する攻防は やりきれないが、現代に伝わる価値ある記録である。 2017/07/05

びす男

70
昭和41年に相次いだ飛行機事故を題材に、著者の取材過程から挫折までの軌跡が綴られている。複雑かつ精巧な機械が大破する飛行機事故、その原因究明は非常にむずかしい。ともすれば「ヒューマン・エラー」で片付けられてしまう。取材の決め手になるのは、固く抱き合った夫婦やロザリオを首から下げた男性などの遺体だった。事故調査をどこかで切り上げようとする専門家の委員会と、死者の声を拾い上げようとする一記者の対比が印象的。「どんな事故や事件でも、徹底的に分析してみると、そこにドラマがあり教訓がある」。その通りだなと思った。2015/05/04

おさむ

40
元NHK記者でノンフィクション作家の柳田邦男さんの名著。1966年に日本で相次いだボーイング727機の事故。その最悪が133人が亡くなった全日空機の東京湾墜落事故。その事故調査委員会が報告書を5年後にまとめるまでの顛末を描く。機体不良ではなく操縦ミスという結論ありきの委員長の姿勢に、専門家らの指摘を基に異議を唱える内容です。読めば読むほど、当時の調査の杜撰さが浮き彫りに。いまはどこまで改善したのかはわからないが、航空事故調査委員会という専門組織があるのが唯一の希望か。同時代ノンフィクション選集で読了。2019/10/14

へくとぱすかる

37
ちょうど50年前の春、日本で航空機事故があいついで発生。最初の羽田沖墜落事故の原因をめぐってのドキュメントである。パイロットに全責任を負わせようとする、事故調査団の多数派と、徹底的に原因を追及する山名教授との対立が何ともやりきれない。人命を尊重する立場からは、原因の徹底究明を何より重視すべきだと思う。続編があるので、ぜひ読みたい。2016/03/26

KEI

17
昭和41年2月からひと月の間に相次いだ航空機事故3件を扱ったノンフィクション。44年も前の本で、事故調査の姿などは変わっていると思うが、テクニカルファクター、ヒューマンファクター、気象条件も合わせ推測や予断を排除し、物証や目撃証言、遺体の姿から事実を突き止めようとする意思の強さを感じる。一方、羽田沖事故の調査委員会の報告書を作成していく過程のお粗末な事に驚いた。著者の取材時に感じた違和感、疑問を読者として共に感じながら読んだ。秀作!2015/10/27

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