内容説明
元ヤンキーの美穂と女遊びに余念がない知弘。二人の夫婦仲は冷え切り、息子も登校を嫌がっている。一方、殺人で服役した和也は出所して前科者の父の家に戻るが、なぜか保護観察官が付き添い、和也らと家族のように暮らす。そんなある日、美穂にマン拓FAXや電波系コミックが届いた。一体誰が、何のために―。二組の“不道徳家族”の狂気と復讐を描く、超破格の犯罪小説。
著者等紹介
戸梶圭太[トカジケイタ]
1968年(昭和43)年、東京生れ。学習院大学文学部心理学科卒。自称ミュージシャンを経て、突如、小説を書き始め、’98(平成10)年に『闇の楽園』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞。以後、作家活動に入る
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感想・レビュー
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H!deking
43
元ヤンキーの主婦、美穂と普通のサラリーマン知宏の冷め切った夫婦。そこに謎のマン拓ファックスが届く。同じ時期、美穂の昔の遊び仲間で殺人で服役していた和也が出所して、若い奥さんと住んでいる父親のもとへ帰る。そして、、的なお話。いやこれも面白かった~!平山夢明に出てくるクズ人間と、木下半太のドタバタコメディが混ざった感じw「人間と鬼畜は同義語なんだよ。もうすぐ広辞苑も改訂される」「無価値野郎に生きている資格なんかねえんだ。価値ある人間は無価値人間を殺していいんだ。21世紀はそういう時代になる」ここにグッときたw2017/06/22
たぬ
30
☆4.5 戸梶さん5冊目。前々から俗な文章を書く人だと思っていたけど今作はそれが炸裂してた。登場人物全員胸糞すぎ。普通なら被害者ポジになるであろう6歳の息子まで破綻してる。人格崩壊者と電波人間が組み合わさったらここまでの地獄絵図が繰り広げられるんだなあ…。すごく面白かったけど手元には置きたくないかな。再読は体調が悪くないときに。2021/04/14
ジョニーウォーカー
18
久々の戸梶本だったが、前回の『バカをあやつれ!』に負けず劣らず まぁ不愉快なこと不愉快なこと。読んでいて共感できる人物なんて一人も出てこないのに、それでも虫唾が走るほど面白いのだからタチが悪い。たまに無性に食べたくなるラーメン二郎のようだ。精神衛生上けっしていいワケないのに、それでも読まずにいられない中毒性、怒りにも似た爽快な読後感。こんなの書けるのきっと戸梶圭太だけ。しかし西武池袋線沿線って、DQNを扱った小説の舞台に本当によく似合うなぁ…自分も住んでいるから思うのだけど。2010/05/20
タク
14
復讐に物語を求め、「ノワールな主人公」を目指す和也と、日常の延長でラテンのノリで和也の復讐を手伝う克郎の対比。和也の言うとおり、ラテンなリベンジなんてかっこ悪い?いやいやいや。ウジウジと悪事に陶酔しようと必死な和也よりも、明るく爽やかに暴力を行使する克郎のほうが遥かにカッコイイし魅力的なのだ。そう、今カッコイイキャラを演じようと思ったら、どっかで徹底的に自身の鬱屈をみせず疾走できるスマートさがないと勤まらないのさ。2010/11/11
yamakujira
11
ふた組のおかしな家族。若夫婦と子供と姑、美穂は元ヤンで、知弘は女好きの変態で、姑に甘やかされた息子は反抗的で生意気で、壊れた家族。成人した息子と父と後妻と他人、出所した和也は暴力的で、父は非常識、後妻はヤク中で、変な保護観察官まで同居して、イカれた家族。和也の美穂への復讐に、知弘への執着する電波系女が絡み、物語はぐちゃぐちゃ、みんな狂ってる。でも「今時、大したことじゃありませんよ。少しくらい狂っていたって。」という運転手の言葉になんだか納得しちゃう。トカジ本はジャンクフードみたいだな。 (★★★☆☆)2016/10/05