出版社内容情報
将軍家宣が薨じた。享年51。白石の助言により家宣の実子家継が4歳で将軍職を継ぐも、8歳で急逝する。間部や白石は幕捌での権力を急速に失い、ついに八代将軍吉宗から罷免され、白石の改革案は悉く覆されてしまう。屋敷さえも奪われた白石は、自伝「折たく柴の記」の執筆に没頭する。今や再び市塵の中に帰るべし――。浪人から立身して政治顧問にまで登り詰めた儒者の生涯を描く傑作長編。
内容説明
将軍家宣が薨じた。享年51。白石の助言により家宣の実子家継が4歳で将軍職を継ぐも、8歳で急逝する。間部や白石は幕閣での権力を急速に失い、ついに八代将軍吉宗から罷免され、白石の改革案は悉く覆されてしまう。屋敷さえも奪われた白石は、自伝「折たく柴の記」の執筆に没頭する。今や再び市塵の中に帰るべし―。浪人から立身して政治顧問にまで上り詰めた儒者の生涯を描く傑作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
48
家宣の崩御により、家継が家督を告ぐも急逝。これを機に白石は失脚の道をたどります。吉宗に罷免され、屋敷までも奪われるのは悲劇に次ぐ悲劇と言ってもいいかもしれません。再び市塵に戻ることを思いながら自伝を書く白石が印象的です。2023/03/13
Gotoran
32
江戸時代中期の「正徳の治」で知られる儒学者新井白石の生涯が描かれる。儒学者として仕えていた白石が、主君が将軍となるにともなって政治の表舞台へ。間部詮房とともに将軍家を支え、さまざまな改革を行うが、信念を持って改革を断行したが故に、敵が増えていく。・・・晩年は寂しく表舞台を去り、市塵に紛れてひっそりと暮らしていく。心理描写も巧みで、儒学者新井白石が生身の人間として見事に描かれている。読み応え十分だった。2024/04/13
rokoroko
23
新井白石の後年の様子が描かれる。屋敷を追われ著作に埋没する。そうなのか時の将軍に仕えてもその後は栄耀栄華を誇ることできないのね。新井白石という人がわかった気がした2025/02/02
のほほん
18
新井白石は頭脳明晰、博覧強記、公明正大、こんなに優秀な人がいるのかと思う人でした。将軍家宣に儒者として仕え、政治の助言もしました。前の将軍の政治の欠点を指摘し覆します。反対意見の人は論破し、悪行と思えば罷免を進言します。ですから敵も増えますが、家宣に信頼され出世もしました。しかし、吉宗が将軍になると吉宗の側近から距離をおかれ、政治に参加することもなくなりました。それを代がかわったのだからとあきらめ受け入れます。そして、書き物に専念します。このため多くの著作を残しました。不遇の時の身の処し方がみごとでした。2024/03/14
たつや
3
2025年21冊目。吉宗の時代となり、白石は罷免され、住居も奪われ、再び市塵の中に帰る…いつの世も権力は移ろいゆく中で、明暗を生きる人々の儚さを思う2025/01/27