出版社内容情報
貧しい浪人生活を経て甲府藩の儒者となった新井白石。五代将軍綱吉の死後、藩主綱豊は六代家宣となり、白石は用人の間部詮房に請われ政治顧問として権力の中枢に身を置く。生類憐れみの令の廃止、伴天連シドッチの訊問、朝鮮通信使接待の簡素化など辣腕を振るう一方、林大学頭など敵が増えていく。だが空理空論ではなく人間に密着する政治に高揚を感じ、新しい世のために白石は力を振り絞る。
内容説明
貧しい浪人生活を経て甲府藩の儒者となった新井白石。五代将軍綱吉の死後、藩主綱豊は六代家宣となり、白石は用人の間部詮房に請われ政治顧問として権力の中枢に身を置く。生類憐れみの令の廃止、伴天連シドッチの訊問、朝鮮通信使接待の簡素化など辣腕を振るう一方、林大学頭など敵が増えていく。だが空理空論ではなく人間に密着する政治に高揚を感じ、新しい世のために白石は力を振り絞る。
著者等紹介
藤沢周平[フジサワシュウヘイ]
1927‐1997。山形県生れ。山形師範卒業後、結核を発病。上京して五年間の闘病生活をおくる。’71(昭和46)年、「溟い海」でオール讀物新人賞を、’73年、「暗殺の年輪」で直木賞を受賞。時代小説作家として、武家もの、市井ものから、歴史小説、伝記小説まで幅広く活躍。『白き瓶』(吉川英治文学賞)、『市塵』(芸術選奨文部大臣賞)など、作品多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
50
新井白石の物語と言えますね。貧しい浪人時代から甲府藩の儒者、更には6代家宣の政治顧問まで上り詰めていきます。その腕には反発する人も多かったでしょう。それでも白石は新たな世を作るために暗躍するのだと思います。下巻も読みます。2023/03/13
shincha
39
6代将軍・家宣に仕えた新井白石の物語。徳川時代歴代最悪の法令の「生類憐みの令」の綱吉をの後、将軍となった家宣のブレインとなり、種々の軋轢を抱えながらも活躍した人物像が淡々と描かれる。他の藤沢作品とは全く違う作品。新井はく製については、中学の社会の授業で教わった江戸時代の朱子学者くらいの知識しかなかったが、人間・新井白石をあぶりだしている面白い作品。下巻に進みます。2023/02/15
Gotoran
32
江戸時代の「正徳の治」で知られる儒学者新井白石の生涯が描かれる。5代将軍綱吉没後甲府藩々主綱豊は6代将軍家宣と なり、新井白石は用人の間部詮房に請われ政治顧問として権力の中枢に身を置く。生類憐みの令廃止、伴天連シドッチの訊問、朝鮮通信使接待の簡素化等に辣腕を振う。白石が職務にのめり込み、家宣の信任が深まるとともに、林大学頭など、敵を増やしていく様子が淡々と描かれている。引き続き、下巻へと読み進めたい。2024/03/23
rokoroko
24
新井白石が埼玉の白岡に所領を持っていたということで読む。評伝。知らなかったことがたくさん。病弱だったと筆者は言っているがどうか。下に続く2025/01/30
加納恭史
16
貧しい浪人を経て甲府藩の儒者となった新井白石。五代将軍綱吉の死後、藩主綱豊は六代将軍家宣となり、白石は側用人の間部詮房に請われ政治顧問として権力の中枢に身を置く。家宣の顧問として白石は幕府の要人に儒教の講義を広めながら、幕府の政治に参画する。取り組んだ政治の課題は大きい。生類憐れみの令の廃止、伴天連シドッチの訊問、朝鮮通信使接待の簡素化など政治に辣腕を振るう。白石の政治の姿勢は刑罰に厳しいのではなく、儒教の仁愛の心。藤沢周平さんは幕府の上層部の内政や外交に関する政治の関心が深く、新井白石を通し検証した。 2024/07/04