出版社内容情報
法隆寺は怨霊鎮魂の寺! 大胆な仮説で学界の通説に挑戦し、法隆寺に秘められた謎を追い、古代国家の正史から隠された真実に迫る。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶち
103
門徒に発行される「法隆寺手帳」に記載されている"公式"な七不思議はオカルトチックなものですが、この本で取り上げられている謎は歴史的にも宗教文化的にもいたって論理的で学術的です。著者の謎解きのための推論の過程がつぶさに書かれていて、知的興奮を掻き立ててくれます。日本に仏教が渡って来た飛鳥・奈良時代に時の権力者によって国の統治のために仏教を利用しようとしたことに端を発していると思うと。複雑な気持ちになります。靖国神社と一部の政治家の言動を見ていると、いつの時代でも宗教と権力は分離すべきと思わざるを得ません。2020/06/20
chantal(シャンタール)
101
もう半世紀近くも前に出版されたこの本。当時はきっとかなり衝撃的だったのだろうなあ。「いつ、誰が、何のために」法隆寺を建立したのか?を主な解明課題に、法隆寺の七不思議を一つ一つ多くの資料を証拠に解明して行く。時々世阿弥愛が覗く所が微笑ましい。「記紀」が当時の権力者である藤原氏に都合よく書かれている事は他の本でも読んだ事があるので、きっとそうなのだろう。藤原氏のやった事の凄まじさ、救世観音がなぜずっと秘仏だったのか等々、息つくヒマもなく展開される推論は凄みを感じる。もう以前の目では法隆寺を見ることは出来ない。2020/03/18
優希
95
法隆寺の真実に迫っています。美しき法隆寺には謎が多く込められているということからして引き込まれました。怨霊鎮魂の寺という仮説から、様々な資料をベースに、不自然さや矛盾を訂正しながら独自の考えを語っていく。全てが正しいとは言えないでしょうが、緻密な論理展開が推理小説のように古代史へと迫るのが面白かったです。聖徳太子というこれまた謎の多い人物と絡んでいるので、殊更興味深く読みました。このような古代史論を読むと興奮してしまいます。2016/11/30
takaC
77
長々と積んでいたがようやく読破。40年前にこの考察は相当異端視されただろうね。色々確かめに法隆寺界隈を訪ねたくなった。2014/01/31
ケロリーヌ@ベルばら同盟
53
聖徳太子の御寺、荘厳な伽藍と数多の御仏、宝物を有する美しき法隆寺。飛鳥・奈良文化の至高の寺院でありながら、多くの神秘に包まれた法隆寺の謎に、哲学者の思惟が斬り込む。古来不吉とされる偶数の造作が繰り返される建築物、遍在する仏舎利、在りし日の上宮太子のご等身でありながら、封印され秘仏とされた救世観音像…。そこに梅原氏は、死と呪いの影を感じ取る。「無実の罪に殺されたものどもよ、汝の怨恨を忘れて、ここに静かに眠れ」蘇我氏の山背大兄王弑逆。この地で太子一族の血は絶えた。 太古の王朝の光と陰。鎮魂の寺への怒濤の論考。2020/05/06
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