内容説明
イタリアからスペインへと回った“私”は、ポルトガルの果ての岬サグレスで、ようやく「旅の終り」の汐どきを掴まえた。パリで数週間を過ごしたあとロンドンに向かい、日本への電報を打ちに中央郵便局へと出かけるのだが―。Being on the road―ひとつの旅の終りは、新しい旅の始まりなのかもしれない。旅を愛するすべての人々に贈る、永遠の「旅のバイブル」全6巻、ここに堂々の完結!
目次
第16章 ローマの休日 南ヨーロッパ1
第17章 果ての岬 南ヨーロッパ2
第18章 飛光よ、飛光よ 終結
対談 森の少女とカジノの男(井上陽水;沢木耕太郎)
あの旅をめぐるエッセイ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chanvesa
27
「恐れずに」「しかし、気をつけて」(276頁)は韓国語版あとがきにある。素敵な言葉だ。人生のいろんな局面にぴったりと来る。スペイン・ザグレスのペンションの話は素敵だ。宿代は相当高かったのだろう。髭の息子とその母の粋なはからいだ。ロンドンの入国管理事務所の場面は、この本の国境を越える場面で最も危機的な緊張をはらんだに違いない。私自身、夫婦での旅行になるから、海外に一人で旅に行く可能性は低い。この困難を切り開いて行く意思の強さと、身に付けられていく図々しさは、読んですごいと思いつつ、読んで楽しむのみである。2023/12/31
おとん707
21
これで完結。実際の旅から18年が経っているが出会った人達とのやり取りなど鮮明で時の隔たりを感じさせない。というかそれだけ人との出会いが筆者に強烈なインパクトを与えたのだろう。本巻の地域は観光地でもあるが筆者の旅は相変わらず冒険だ。当時は日本赤軍が世界各地で活動していた時期で英国入国審査での警戒態勢は理解できる。今や日本のパスポートは世界最強で、当時約300円だった円ドルは今130円台。世界情勢が見通せない今だからこそ若者にはひとりで海外に飛び出し見てほしい。私も今年海外ひとり旅を再開する。若者ではないが。2023/04/18
おはち
19
まだ旅の道中であることが示されるとても粋な終わり方。滞在した国について「わからないことをわかっている」という話にとても共感。日本でさえわからないのだ。自分がわかる半径がどれくらいなのか、常に敏感でありたい。しばらくは難しいけれど、読んだからにはちゃんと旅に出たいなあ。2021/01/31
あきあかね
18
ユーラシア大陸横断のこの長い旅も終着を迎える。この魅惑的な旅路が終わってしまうのが惜しくて、最終巻はこれまで以上に時間をかけて噛みしめるように読んでいた気がする。 イタリア、スペイン、ポルトガルへと南欧の旅が進む。そして、ユーラシア大陸の果て、イベリア半島西南の端の岬、サグレスに惹きつけられてゆく。シーズンオフの小さなサグレスの町でたまたま見つけた大西洋を臨むペンションの心地よさは、旅の終わりに相応しい、晴れやかな寂しさが感じられてよかった。⇒2022/08/13
poke
16
イタリア、スペインいいなぁ。パリもやっぱり行ってみたいなぁ。ただ自分がこのあたりの国に旅する時はお金に余裕を持って行こうと決めた。滞在期間も余裕をもちたい。早く元の通り旅ができる状況になりますように。わかっているのは、わからないということだけ。人生においても旅においても大切なことだと思う。2021/07/08