内容説明
イタリアからスペインへと回った“私”は、ポルトガルの果ての岬サグレスで、ようやく「旅の終り」の汐どきを掴まえた。パリで数週間を過ごしたあとロンドンに向かい、日本への電報を打ちに中央郵便局へと出かけるのだが―。Being on the road―ひとつの旅の終りは、新しい旅の始まりなのかもしれない。旅を愛するすべての人々に贈る、永遠の「旅のバイブル」全6巻、ここに堂々の完結!
目次
第16章 ローマの休日 南ヨーロッパ1
第17章 果ての岬 南ヨーロッパ2
第18章 飛光よ、飛光よ 終結
対談 森の少女とカジノの男(井上陽水;沢木耕太郎)
あの旅をめぐるエッセイ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はにこ
67
沢木さんの旅は観光地を訪れるというより、訪問地の生活を楽しむというもの。それは、短期間の旅行で体験することは難しく、1年ほどの長い期間を設けられることから可能なので、羨ましくもありこんな貧乏旅行はできないとも思う。通貨がユーロではなく、当時の国々の通貨なのが懐かしい。また海外行きたいなぁ。2024/08/20
アイシャ
51
イタリアからスペイン、ポルトガル、フランス、とうとうロンドン。旅の最後の方に来て、旅を終わらせる方法を考えるとともに、まだまだ終わらせたくない気持ちがせめぎ合う。沢木さんにとって旅で大切なのは名所ではなく人。人とのとっかかりがあるかないか、それはその土地に他人への温かさがあるかないか。偶然に泊まることになったポルトガルの小さなすごく素敵なホテル。その地でやっと旅を終わらせようと思えた。パリでも偶然にアパートに宿を得たり、すごくラッキー。最後はあっけなかった。日本へ電報を打つシーン。だからこその余韻が残った2024/05/27
chanvesa
29
「恐れずに」「しかし、気をつけて」(276頁)は韓国語版あとがきにある。素敵な言葉だ。人生のいろんな局面にぴったりと来る。スペイン・ザグレスのペンションの話は素敵だ。宿代は相当高かったのだろう。髭の息子とその母の粋なはからいだ。ロンドンの入国管理事務所の場面は、この本の国境を越える場面で最も危機的な緊張をはらんだに違いない。私自身、夫婦での旅行になるから、海外に一人で旅に行く可能性は低い。この困難を切り開いて行く意思の強さと、身に付けられていく図々しさは、読んですごいと思いつつ、読んで楽しむのみである。2023/12/31
NASA
27
なんて楽しい読書体験! 途中から、どうか終わらないでくれ!と思いながら読んでいました。最終巻は、これまでのいろんな出来事とリンクしていて感慨深い。電報のくだりに笑い、最後の終わり方に納得。爽快な読後感! もっと若い時に読んでいたら良かったかもと思う。旅に出かけたくなった。2025/06/06
GELC
25
著者の旅の経験とリンクするように、段々と熱狂は冷めていき、もうここで良いかなと感じたタイミングで読了。自分では直接経験することは難しい貴重な旅の記録を共有できたことは、まさに読書の醍醐味を味わえた。特に4巻までのアジア~中央アジア編は、まさに非日常の体験で、世界の認識を拡張してくれたと感じる。道中、何度も「さらに自由になれた気がした」という表現が出てくるが、ここまでの体験をすると、何に対しても怯むことなく、違う角度や視点から考えることができそうだ。2025/06/01
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