内容説明
瀟洒なホテルの中庭で、気鋭の脚本家が謎の死を遂げた。容疑は、パーティ会場で発表予定だった『告白』の主演女優候補三人に掛かる。警察は女優三人に脚本家の変死をめぐる一人芝居『告白』を演じさせようとする―という設定の戯曲『中庭の出来事』を執筆中の劇作家がいて…。虚と実、内と外がめまぐるしく反転する眩惑の迷宮。芝居とミステリが見事に融合した山本周五郎賞受賞作。
著者等紹介
恩田陸[オンダリク]
1964(昭和39)年、宮城県生れ。早稲田大学卒。’92(平成4)年、日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞、本屋大賞を、’06年『ユージニア』で日本推理作家協会賞を、’07年『中庭の出来事』で山本周五郎賞をそれぞれ受賞した。ホラー、SF、ミステリーなど、さまざまなタイプの小説で才能を発揮している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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SJW
215
山本周五郎受賞作品。「ホテルの中庭で脚本家が謎の死を遂げ、その脚本家の作品の主演女優候補の三人に容疑がかけられる。」という設定の戯曲「中庭の出来事」を書いている戯曲家が登場するという複雑な設定。劇中劇中劇の三層になっていて集中しないと分からなくなってしまう。驚いたのは新宿Cビルの地下にあり吹き抜けとなっている中庭が殺人現場となっていた。私は以前そのビルの高層階のオフィスに勤めていて、その噴水の脇に同じ場所に腰かけてランチを食べたことがある。発行時期から考えて同時期に恩田さんがあの場所に来て(続く)2019/06/02
三代目 びあだいまおう
195
『人生とは舞台であり、現実というのは劇場である』ホテルの中庭で、気鋭の脚本家が謎の死を遂げた。中庭での出来事はそれだけ。年齢も経歴も異なる3人の女優A、B、Cが語る。同じようなシーンが重なり、物語の構成が掴めない。まるで螺旋階段を手探りしながら登っている感覚。途中、有名演劇の有名シーンが湧いてきて益々混乱。現実なの?虚構なの?それとも台本?やがて繋がる全ての伏線。最後の数ページは、その結末を知るのが勿体なくて迂闊に捲りたくなくなる程の感情移入。演劇好きの著者のしてやったりのドヤ顔が浮かぶ良書‼️🙇♂️2024/04/22
ダイ@2019.11.2~一時休止
144
あらすじを見ても混乱するし、いざ読んでみるとやっぱり本筋なのか作中劇なのかが混乱する。これは再読してもよくわからないだろうな・・・。2017/01/04
kariya
143
四方から見渡せる中庭。けれど目に映るもの全てが真実とは限らない。新作の発表を兼ねたパーティー会場で怪死した脚本家。容疑者となった主役候補の3人の女優には動機も機会も存在する。けれどそれは戯曲の話で、演じる者達の世界でも謎めいた突然の死が起き、更に。語る者と語られる者、入れ子の箱の中と外が目まぐるしく入れ替わり、内に収まっていた筈の真実はいつの間にか、メビウスの環のようにぐるりと捻じ曲がり外側の真実を飲み込み変えていく。何重もの真実を中庭という舞台で演じていたのは登場人物? 作者? それとも?2009/12/13
yoshida
133
状況に混乱しながら何とか読了。残念ながら私には理解が難しい作品でした。途中で挫折しなかっただけ頑張ったかと思います。恩田陸さんの作品は好きなのですが、合わない作品もある。脚本と現実が入り乱れて混乱してしまいました。他の作品に期待したいです。2020/04/26